内定者が採用活動を担当? コロナ禍で激変する新卒採用の形、リファラル採用の新潮流「待ち」ではない採用を(1/4 ページ)

» 2020年10月20日 05時00分 公開
[鈴木 貴史ITmedia]

 内定者が、新卒採用を担当する――。こうした取り組みを導入する企業が出始めてきています。例えば、東京都渋谷区に本社を置く、総合建設会社の東急建設では内定者と一緒に「次年度の採用コンテンツ」を作り、内定者の力も借りてリファラル活動を推進しています。内定者とともに採用活動に取り組むことで、コロナ禍というこれまでにない環境下での就活を経験した就活生の目線を取り入れて“よりよい新卒採用”を作ることを期待しているそうです。

 新型コロナウイルスの影響で合同説明会やリアルな懇親会がなくなり、企業と学生がお互いに理解しあう場は明確に減少しています。ニューノーマル時代と呼ばれる今、新卒採用を担当する人事に求められるものはどういった要素なのでしょうか。本稿では、これまでの新卒採用の変遷や学生の志向性の変化から、一つの解決策となりそうな「内定者リファラル採用」についてご紹介します。

内定式からすでに次年度の採用が始まっている

 東急建設では、8月に実施した内定者研修から「21卒内定者が採用担当さながら、次年度の採用コンテンツを考える」ことをテーマにグループワークを実施しているそうです。10月の内定式では、全11班のグループがそれぞれ検討結果を発表しました。

 内定者の一人は、次のように発表しました。「私たちの班は“東急建設の最寄り駅”を作りたいと思っています。就職活動を行う学生と東急建設を近距離でつなぐ場です。『内定者が社員に聞きたいこと』『就職活動に役立つ情報』『質問箱』などのコンテンツを更新し、何度も訪れたくなる最寄り駅のようなサイトを作ります。またさまざまなコンテンツを作って運営していく中で内定者同士の団結力が生まれると思います」

東急建設が10月1日に実施した内定式の様子(提供:同社)

 他の班からも「就活Q&A」「内定者目線での施工実績紹介」「Twitterの活用」「内定者のエントリーシート公開」など、自分たちの就職活動を振り返って本当に知りたいと感じたことをつめこんだ内容が挙がりました。総合すると、情報をよりオープンにすることが好印象を呼び、就活生が聞きたい本音を知ることで入社後のギャップを埋められる、と内定者たちが考えていることが分かります。

 発表後はリファラル採用アプリ「MyRefer」への登録を行い、就活の経験者として後輩に自社のことを紹介する取り組みを開始。内定者に対し東急建設のファンをつくってほしい、と呼びかけていました。東急建設で新卒採用を担当する人事部採用・育成グループの加藤早紀氏は、今回の取り組みに際して「内定者が就活生に近い目線で考えたことを採用コンテンツに反映させることで、学生のニーズも盛り込んだ採用活動ができると考えます」と話しています。

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