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iPhone 12発表で「指紋認証」「ホームボタン」「USB-C」が続々とトレンド入り その理由は

» 2020年10月14日 20時18分 公開
[樋口隆充ITmedia]

 「指紋認証」「ホームボタン」「USB-C」「Lightningケーブル」──米AppleがiPhoneの新モデルを発表した直後から、日本のTwitterでは、iPhoneの旧モデルが搭載しているインタフェースや機能の名称などが続々とトレンド入りしている。一体何が起きたのか。

バラエティに富んだ「iPhone 12」シリーズが登場

 Appleが10月13日(現地時間)に発表した「iPhone 12」シリーズは、カメラ機能を強化したハイエンドモデル「iPhone 12 Pro」「iPhone 12 Pro Max」や、ベーシックモデルの「iPhone 12」、小型モデルの「iPhone 12 mini」と、バラエティに富んだラインアップとなった。

 全モデルが5Gに対応し、SoCには最新の「A14 Bionic」を採用。処理性能を前モデルから向上させた。全モデル共通の仕様として、新たに「MagSafe」と呼ばれるマグネット機構を本体の背面に内蔵。マグネットを生かしてワイヤレス充電の使い勝手を高めたり、新アクセサリーを使えたりするようにしたのが特徴だ。

photo iPhone 12

なぜ? 旧モデルのキーワードがトレンド入り

 こうした中、TwitterではiPhone 12シリーズの発表直後から「Lightningケーブル」「USB-C」といったキーワードがトレンド入りした。新モデルのインタフェースに、従来モデルと同じ「Lightning」が採用されたからだ。

photophoto

 Appleは「iPad Pro」シリーズや新型「iPad Air」のインタフェースにUSB-Cを立て続けに採用したことから、「新型iPhoneもUSB-Cに移行するのではないか」という希望的観測がiPhone 12発表前からネット上にあふれていた。

 既に他社のスマートフォンや電子機器類では、インタフェースにUSB-Cを採用する製品が主流だ。iPhoneもUSB-Cを採用することで、ユーザーは共通の充電ケーブルが使えるようになるなど、使い勝手が向上するとの期待も大きかった。だが、ふたを開けると、iPhone 12シリーズではLightningが引き続き採用されることが明らかになり、落胆の声がSNS上で広がった。

 また、AppleはiPhone 12シリーズから環境保全の観点でACアダプターの同梱を取りやめ、「USB-C to Lightningケーブル」のみを付属品とすると発表。同社は「世界中に電源アダプターが20億個以上も存在している(付属させるのは無駄)」とアピールするが、既存製品の付属品として流通したACアダプターの多くはポートの形状がUSB-Aであることから、「結局、USB-Cに対応したACアダプターを購入する必要があるのではないか」とツイートしている人もいる。

photo 新型iPhoneの同梱物

 さらに「ホームボタン」や「指紋認証」「イヤフォンジャック」も同様にトレンド入りした。

 コロナ禍でマスクを着用する機会が増え、Appleの顔認証機能「Face ID」の使い勝手が落ちていることから、指紋認証機能「Touch ID」が再評価されている状況だ。Face IDのみ採用するiPad Proのデザインを踏襲した新型iPad Airが指紋認証機能を新たに搭載したことから、新型iPhoneでTouch IDが復活するのではないかという期待があったようだ。

 iPhone 6sを最後に廃止されたイヤフォンジャックの人気も根強い。「AirPods」などのワイヤレスイヤフォンが市場で人気を集めているが、いずれも高価であることから、若年層を中心に有線イヤフォンのニーズはまだあるだろう。他社のスマートフォンでもイヤフォンジャックを残したり、新たに復活させたモデルもある。

 Appleはユーザーの関心を集める製品をこれまで世に送り出し、根強いファンを獲得してきた。だが、ホームボタンやイヤフォンジャックの廃止に代表されるように、市場の常識を破壊するような挑戦的な方針転換も多く、一部ユーザーが拒否反応を示すケースもある。独自路線を突き進むAppleの姿勢を評価する声もあるが、客の理解や納得を得るには、メーカーの意図をもっとアピールする場があってもよさそうだ。

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