攻める総務

属人化、在宅勤務、人手不足……課題山積の経理部門、何から手を付ける?総務・人事・経理Weekの講演から探る(1/5 ページ)

» 2020年09月29日 08時00分 公開
[柳谷智宣ITmedia]

 2020年9月16〜18日、幕張メッセで「第15回 東京 総務・人事・経理Week」が開催された。総務、人事、経理、法務の担当者や経営者が来場し、商談をするための展示会で、働き方改革や新型コロナウイルス感染対策、業務効率化などに関する製品やサービスが多数出展。有識者による講演も行われた

 今回はその中から、経理アウトソーシングなどを手掛けるCSアカウンティングの中尾篤史社長による「経理部門の働き方改革のススメ〜業務効率を上げるテクニックを伝授〜」の様子をお伝えする。

CSアカウンティングの中尾篤史社長

 公認会計士・税理士である中尾氏は会計や人事において2000社に協力した経験を持っているという。今回は、数年前から注力してきた働き方改革支援の中で、行ったことや失敗したことを紹介してくれた。

働き方改革と在宅勤務を両立しながら……

 働き方改革に加え、今年に入ってからのコロナ禍では、在宅勤務という新しい課題が持ち上がった。企業はこの2つの課題に直面しており対策が急がれるが、そのときには生産性の向上も同時に考えなければならない。

日本の生産性は上位と比較して3分の2ほど(出所:日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2019」)

 また、CSアカウンティングの顧客で顕在化しているのが、労働力人口の減少だという。少子化に加え、団塊世代以降の人たちが退職を迎えている。さらに、一定のキャリアの人が退職する際に、後進の育成が進んでいないという課題も出てきているそうだ。どの部署でもいえることかもしれないが、中でも経理では輪をかけて深刻な状況になっているという。

 経理は、悪意はないにせよ個人が多くの業務を抱えてしまい属人化してしまうケースが多い。業務によっては秘匿性が高く、オープンにできないという面もある。加えて、日本は時間当たりの生産性が低い。

 この20年間いわれていることだが、先進国上位と比べると3分の2程度にとどまっている。そんな中、経済的に豊かになるためには、まず生産性を先進国上位と同等に、つまり1.5倍に引き上げなければならない。しかも、残業規制にも対応するため、労働時間を10%ほど圧縮する必要がある。そうすると、単純計算で現在の1.66倍の生産性が必要になる。

 経理は1カ月もしくは1年の間で、繁閑差が大きい部署だ。月末や決算の時期はとても忙しくて、その他は比較的余裕があったりする。中尾氏によると、働き方改革を進める企業の中でも、モデルケースとして経理部から着手する企業と、難しいからと先送りしてしまった企業に分かれてしまったそうだ。

 経理の働き方改革を中心に進めた企業は、コロナ禍でも在宅勤務を実現できたケースが多いという。その際に役だったのがITシステムだ。

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