4月5日、ジャパンネット銀行がPayPay銀行へ その狙いとシナリオ金融構想 とは?(1/2 ページ)

» 2020年09月15日 14時49分 公開
[斎藤健二ITmedia]
ヤフーグループの金融事業のブランド名がPayPayに統一される

 ヤフーグループの金融事業のブランド名が「PayPay」に統一される。9月15日、グループ内の銀行であるジャパンネット銀行は2021年4月5日に「PayPay銀行」に商号を変更することを発表した。この狙いは何なのか。

ヤフーやPayPayのグループと認識されていないジャパンネット銀行

 ジャパンネット銀行の田鎖智人社長は、「PayPayと(ジャパンネット銀行が)グループであることが認知されていない」と明かす。同社の調査によると、個人向けローンを借りた理由として「グループ会社のサービスを使っているから」と回答した比率は、他の銀行に比べて著しく低く、7%しかなかった。

 ブランドが異なることはサービスの離脱率にも影響している。PayPay内から「お金を借りる」というメニューをタップすると、ジャパンネット銀行の個人向けローンページが表示される。ここでも「PayPayと無関係に見える銀行が唐突に出てくるように見えるため、利用者は違和感を抱いて離脱している」(田鎖氏)という。

 一方で、PayPayとはすでに深く連携している。同銀行の新規個人口座開設はPayPay経由が最大のチャネルとなっており、法人口座申し込みは半分以上がPayPay経由だ。こうした理由から、創業20周年を迎える今、PayPay銀行に「脱皮」(田鎖氏)するのだという。

ジャパンネット銀行の新規口座開設は、すでにかなりの数がPayPay経由に

 社名変更のネガティブな面はないのか。PayPay銀行への社名変更発表時には、SNSで反対の声も多く上がった。しかし「発表前後で、実際の解約の傾向を分析すると、SNSの声ほど、解約が増えたという事実はない」(田鎖氏)とした。

 PayPayが単なる決済アプリから複数の機能を兼ね備えた「スーパーアプリ」へと進化していく中、ブランドを統一することで、個人向けローンなどをシームレスに申し込みできるようにしていく。今後は、法人向けにも、PayPayの加盟店利用サイトから、ビジネスローンを提供する体制も整えていくという。

PayPay銀行としての成長シナリオ

 PayPayとの連携で攻める一方で、従来事業はしっかりと継続する。公営競技、くじ、LINE PayやメルペイなどとのQR決済、PFMなどの提携関係は、引き続き拡大させていく。また、中小企業向けの総合振り込み、入金消込、ビジネスローンについても変わらず継続する。提携サービスと中小企業向けのサービスで、売上高にあたる業務粗利益の4割を上げているという。

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