2020年6月にITmedia エンタープライズに対して日本進出の計画を明かしていたOktaが、ついに日本法人Okta Japanを立ち上げた。多様なクラウド環境やSaaSの普及が進む日本市場での具体的な戦略と勝算は? 前編では、日本のIDaaS市場にOkta Japanがどう展開するか、同社の渡邉社長に聞く。
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以前からITmedia エンタープライズに対して日本進出のプランを明かしていたOktaが2020年9月2日、ついに日本法人Okta Japanの開設を発表した。
同社が手掛けるクラウド型ID管理基盤(IDaaS:Identity as a Service)「Okta Identity Cloud」(以下、Okta)の強みとこれまでの歩みについては、こちらの記事を参照してほしい。本稿では、米国の本社設立当初から計画していたという日本進出を果たした同社の戦略と、日本市場における成長の可能性を、前後編でお届けする。
Okta Japanの社長に就任した渡邉 崇氏は、クラウドインテグレーターの日本法人の代表を務めていた際、5年間ほどユーザーとしてOktaを利用した経験を持つ。
「その際の体験が素晴らしく、もしチャンスがあれば、Oktaが日本に来る際にはビジネスを手伝えたらうれしいなと考えていました」と同氏は話す。
現在は一部の企業に普及し始めたIDaaSだが、今後日本市場でさらに注目される可能性が高い。その流れを支える3つのトレンドがある。
1つ目が、クラウドへの移行だ。これまでは主にオンプレミスでシステムを構築し運用してきたが、ここ最近はそれがオンプレミスで自社構築したものだけでなく、便利なクラウドサービスを積極的に活用するようになってきた。新型コロナウイルスへの対応で増えたテレワークの活用は、このクラウドへの移行をさらに加速させている。複数のクラウドサービスを利用する際に、ID管理の効率化が必要になる。
2つ目のトレンドはデジタル変革だ。最近著しく成長している企業は、クラウドサービスを活用して迅速にアプリケーションを構築し、モバイル端末も活用して顧客対応を強化している。こうしたアプリケーションは自社の社員だけでなく、パートナーなど外部ユーザーも使うため、安全なID管理が重要になる。
3つ目のトレンドは、より高いレベルのセキュリティが求められていることだ。高度化するサイバー攻撃に対しては、オフィスに敷いたネットワークを守ることを前提にした「境界型防御」では守り切れない。そして今や、さまざまな場所からさまざまな人がアプリケーションやサービスにアクセスする。その際、時間やアクセスする端末など、さまざまなユーザーの状況や権限などに応じてアクセスを許可すべきかを都度判断する「ゼロトラスト」の考え方が普及しつつある。ゼロトラストの実現に当たっては、統合された安全なID管理が鍵となる。
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