クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

再度注目を集める内燃機関 バイオ燃料とe-fuel池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/4 ページ)

» 2021年05月17日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

 ホンの少し前まで、「内燃機関終了」とか「これからはEVの時代」という声しか聞こえなかった。ところがこの1、2カ月の間に「カーボンニュートラル燃料」の存在がにわかにクローズアップされ始めている。

トヨタがレース参戦する水素燃焼エンジン搭載のカローラスポーツ

CO2削減のために

 ガソリンやディーゼルオイルなど、いわゆる化石燃料を燃やしている限りCO2は発生する。実はこのあたりに詳細に踏み込んでいくと、日本の今の電力構成を前提にLCA(ライフサイクル全体での環境負荷)で評価した場合に、必ずしもEVだけが圧倒的に優れているわけではないという議論も盛んに行われている。

 少なくともLCAが基準になれば、EV生産時のCO2排出量はそれなりに増える。それを加味した場合にどの程度になるのかには諸説があって、現時点で入手できる資料をベースにする限り明確な結論は出そうもない。LCA評価では「燃料タンク to ホイール」評価のように、「内燃機関の場合は1キロメートル走行あたり130グラムで、EVの場合は0グラム」という話には絶対にならない。条件次第では勝敗がひっくり返るレベルの差になる。

 しかし、その話は今回本題ではない。考え方をがらりと変えて、燃やしてもCO2負荷が増えない燃料を使えばいいのではないかという新しいアプローチが提案されているのだ。

 それらの燃料がゼロエミッションではなく、カーボンニュートラルといわれるのにはちゃんと意味がある。例えば燃料の精製時に、大気中からCO2を取り込み、燃焼時に排出する。その場合、CO2はいわばキャッチ&リリースされているようなもので、新たに増えるわけではない。むしろ燃料に加工されてから燃やされるまでの間はCO2を燃料に封じ込めていることになり、一時的にはCO2を削減していることになる。まあこのあたりは少し微妙な言い方になるが、備蓄中の燃料はCO2を削減しているということになるわけだ。

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