「評価は高いのに、マーケットより低給の社員」可視化で離職を防ぐ パーソル新サービス「doda」のデータ100万件を活用

» 2021年05月14日 12時56分 公開
[小林可奈ITmedia]

 パーソルキャリアとパーソル総合研究所は5月14日、自社とマーケットの報酬を比較する新サービス「Salaries」(サラリーズ)正式版の提供を発表した。業種、職種ごとに報酬レンジをグラフで可視化し、離職防止や組織の見直しにつなげるねらい。

photo (同社サイトより)

 転職サービス「doda」が蓄積してきた約100万件のキャリアデータを活用する。サービス価格は年間30万円、120万円、150万円の3プランがあり、導入できる従業員数や比較する業種が同業種のみか、他業種も含まれるかといった違いがあるという。

データの振り分けは不要 報酬レンジを自動でグラフ化

 人事グレードや部下の人数ごとに、自社とマーケットの報酬レンジを比較できる。優秀な人材の離職防止や、組織の見直しのきっかけといった利用を想定している。

 社員データをアップロードすると、サービス側が必要な項目を判別し、機械学習によって自動振り分けする。人事担当者は社員データをグレードごとに振り分ける必要がなく、業務効率化につながるという。結果はグラフで出力する。

「社内評価は高くても、マーケット水準より給与が低い社員」が分かる

 自社とマーケットの報酬レンジを比較できる「報酬レンジグラフ」と、社員のマーケットにおける給与分布を確認できる「散布図」の2つの基本機能がある。報酬レンジグラフは2軸からなり、1つの軸は報酬、もう1軸は就業年数・部下の人数・評価などのグレードから選択できる。

photo 縦軸はマーケットとの報酬比較、横軸は評価

 自社内では評価が高くても、マーケットと比較して給与が低い社員や、部下が多いにもかかわらずマーケットより給与が低い社員を可視化するなど、優秀な人材の離職防止にもつなげられる。

実際に導入して「意外性」も SB統括人事本部・源田氏

 実際に導入した企業では、サラリーズをどのように評価したのか。パイロット版を導入したソフトバンクコーポレート統括人事本部本部長の源田泰之氏は、「他社サービスと比較してもUIが見やすく使いやすいため、ITリテラシーが低い人でも使えるのではないか」と評価する。ソフトバンクでは新規事業開発を見据えた人材獲得にあたって、自社とマーケットの人材価値の比較のため活用した。実際に導入してみて、自社の人材の市場価値の高さに意外性を感じることもあったという。

 サラリーズはパイロット版を20年12月〜21年3月にリリースし、80社の応募を集めていた。パイロット版で得た13万件のデータのほか、パーソルグループのデータのうち再利用可能な約100万件のデータも活用する。

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