配達員トラブル多発のウーバーが、「不祥事相次ぐセブン」と妙に重なるワケスピン経済の歩き方(1/5 ページ)

» 2021年04月20日 08時27分 公開
[窪田順生ITmedia]

 長引くコロナ禍によって、国民の生活インフラの一つにまでなったと言っても差し支えないウーバーイーツ(Uber Eats)に「ルール整備」を求める声が上がっている

 まず、一部の配達員が交通ルールを守らず危険運転をする問題が増えていることで、東京都議会では配達員の「背番号制」が提唱され、大きな論争を呼んでいる。

 導入反対派は、配達員に対する個人的な恨みなどから、SNSで悪評がさらされ、ハラスメントや人権侵害につながる恐れがあると主張。確かに、そんな未来を予感させるような出来事も起きている。

 配達員がピックアップ先の大手ラーメン店の店員から暴行を受けたことを告発したのだ。胸を思いっきり押されたうえ、店主から土下座を求められたという。一方、テレビ局の取材を受けた店側は胸を押した事実は認めて謝罪をしたものの、配達員側の態度にも問題があったと主張していた。

ウーバー配達員の背番号制が大きな論争を呼んでいる(出所:ゲッティイメージズ)

 このように店や利用者とのトラブルが日常的に発生していることを踏まえれば、配達員にとって背番号制の導入が、配達員イジメをする際の個人特定に悪用されるだけ、というのは容易に想像できよう。

 一方、一部の配達員からはウーバージャパン(UberJapan)に対して、団体交渉ができるよう、労働者としての権利を認めるような主張も出てきている。3月16日、英国のウーバーが世界で初めて、配車サービスの運転手7万人以上を個人事業主ではなく従業員扱いとすると発表したが、日本もあのような対応をしてほしいというわけだ。

 もし「従業員化」が進めば、今問題になっていることの多くが解決するかもしれない。例えば、配達員の危険運転やマナーの悪さは、ウーバー側から競争心を過度にあおられているからだという指摘がある。昼食、夕食などのピーク時にたくさん運ぶことや、配達依頼がきたら即座に回答することなどでインセンティブが付くシステムの弊害で、配達時の安全やコミュニケーションがおざなりになっているというのだ。

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