プロジェクト管理ツール「Trello」経由で、個人情報が流出するという問題が発生しました。
顔写真や履歴書などの候補者情報や、不採用理由といった選考評価情報が流出したことが問題を大きくしました。この問題は、システムからの個人情報の流出という側面で取り上げられることが多いですが、使用者がITリテラシーを高めることも重要です。
人事はITシステムを活用する際、どのような点を理解すべきでしょうか。
1983年生まれ。明治大学卒業後、ベンチャーのモバイル広告代理店に入社し、人事採用業務に従事。2011年に人事採用の上流戦略を提案するHRディレクションカンパニーを立ち上げ、コンサルティングファーム、ITベンチャー、教育、食品会社などの採用チーム立ち上げ・再建を中心とした採用コンサルティング全般に携る。
2016年11月シングラー株式会社を設立し、面接CX(候補者体験)を高めて内定辞退を防ぐ「HRアナリスト」を発表。同サービスでエントリーした日本最大級のスタートアップカンファレンス「B Dash Camp 2017 Summer in Sapporo」で準優勝に輝く。「HRアナリスト」をコアとしたHR Techによる人材採用の変革を推進中。
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「採用におけるオペレーション管理に、なぜTrelloを活用していたのか?」と批判する声があります。
採用の進捗管理や候補者情報の受け渡しに特化したATS(Applicant tracking system、採用管理システム)があるのに、なぜ多くの企業がTrelloを使用しているのでしょうか? その理由は、採用における進捗管理と、プロジェクトの進捗管理とで、必要機能が非常に類似しているからです。つまり、採用をプロジェクトに見立て、Trelloで管理できるということです。
例えば社内エンジニアに採用活動に参加してもらう場合、エンジニアチームがプロダクトの開発進捗をTrelloで管理していたとします。ほとんどのエンジニアはATSを使用したことがないので「採用活動に参加するのは良いけれど、ATSの使い勝手が悪いから、僕らの使っているTrelloで採用進捗も管理しようよ」といった声が上がります。
人事がATSを使用している場合でも、お願いしている立場としてエンジニアチームの提案を受け入れる場合もあるでしょう。
このような考え方は間違っていないと思います。前述の通り採用進捗の管理方法はプロジェクト管理と極めて類似していますし、Trelloの開発思想ともズレていません。
プロジェクト管理の思想が採用活動に浸透し、人事がATSやTrelloのようなツールを活用することで、今まで頻発していた「面接を受けたのに結果が届かない」「同じ質問を違う面接官から何度も聞かれる」「なかなか面接日が設定されない」という問題が、以前よりも解決されているのも事実です。
では、何が問題だったのでしょうか?
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