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創業88年、三菱ケミカル「ジョブ型」移行の全貌 「処遇」「福利厚生」「定年」など丸ごと再定義小手先では終わらない(1/3 ページ)

» 2021年04月14日 07時00分 公開
[山崎潤一郎ITmedia]

 90年近い歴史を誇り、従業員数約4万人(連結)のレガシー企業が、ジョブ型の人事制度を導入したというニュースは、日本的なメンバーシップ型の雇用慣行が限界を迎えつつあるという現実を突きつける。

photo 人事部労制グループマネジャーの杉浦史朗氏。杉浦氏は30歳半ばだが、新人事制度導入のプロジェクトリーダーとして、新制度を立案し、まとめ上げた

 三菱ケミカルは、2020年10月からジョブ型の人事制度を導入した。コロナ禍におけるリモートワーク率の高まりとともに、流行語になった感のある「ジョブ型雇用」だが、同社の場合、雇用形態をジョブ型に移行します、という小手先の変更では終わらない。処遇、福利厚生、定年制度など、人事システム全体の在り方を総合的に再定義する、大手術とも呼べる改革を実施した。

 三菱ケミカルの人事制度改革について、人事部労制グループの杉浦史朗マネジャーに、改革の中身について話を聞いた。

社内公募で人材をリクルート

 本記事では、三菱ケミカルの人事制度改革の概要から、特徴的なキーワードを拾いつつ、その中身について紹介しよう。1つ目は「公募による昇格と異動」、2つ目は「ジョブ型を意識した処遇・等級への移行」、3つ目は「福利厚生の再定義」、そして、4つ目は「定年の延長と廃止」だ。ジョブ型雇用については、2つ目の「処遇と等級の改革」で、その考え方を取り入れている。

(1)公募による昇格と異動

 これまでの制度では、他の企業と同様、昇格や異動の主導権は会社側にあった。本人の事情や希望を考慮することはあるが、制度として規定されているわけではなかった。そこに社内公募の仕組みを導入することで、社員自身で、自らのキャリア形成の希望を会社側に示す手段を制度として構築したことになる。どのような仕組みなのか、詳しく見ていこう。

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