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創業2年半でユーザー数3000人超 ノーコード×AI開発の「MatrixFlow」が考える“真のAI民主化”とはマスクド・アナライズの新弟子入門!(1/3 ページ)

» 2021年04月05日 07時00分 公開

 「ノーコード」と呼ばれる、プログラミングが不要なシステム開発に注目が集まっています。特に日本では業務システム開発をノーコードで実現するツールがいくつか出ていますが、最近はAI開発にもノーコードの波が来ています。

 連載2回目はプログラミング不要のAI構築プラットフォーム「MatrixFlow」を提供するベンチャー企業のMatrixFlow社(東京都台東区)の田本芳文社長に、新弟子として入門しました。同社は2018年の設立から現在までで3000人超のユーザー数を抱える他、インテリアのEC事業「LOWYA」などを手掛けるベガコーポレーションから1億円の資金調達を受けるなど、成長を見せている企業です。

 創業者の田本さんはTwitterで精力的に情報を発信しており、「データサイエンティストはいらない」などの発言から「イキリデータサイエンティスト」と呼ばれたことも。そんな田本さんはノーコード×AIでどんな未来を描くのでしょうか。

新連載:マスクド・アナライズの新弟子入門!

マスク

“自称”AI(人工知能)ベンチャーでの経験を基に情報発信するマスクマンこと、マスクド・アナライズさん。AIをめぐる現状について愛と毒を混ぜた連載記事で人気を得るも、AIブームの終焉とともにネタ切れに(本人談)。

新連載をきっかけに、突撃取材キャラにギミックチェンジ。

最近の悩みは本連載のネタがねとらぼと被りそうなこと(編注:そうですか?)。

著書「AI・データ分析プロジェクトのすべて」が、丸善・丸の内本店にて2カ月連続でPC書籍の売上No.1を達成しました。

Twitter:@maskedanl

きっかけは「AIの民主化」に対する違和感

マスクド MatrixFlowの開発を始めるまでにどのような経緯がありましたか?

田本芳文社長(取材はオンラインで実施)

田本さん 学生時代は理論物理学を学んでいましたが、より実社会に向けて何か取り組みたいと考えて、大学院生時代に独学でプログラミングを始めました。

その後、Webアプリケーションの開発やAI系ベンチャーでレコメンドエンジンの開発などを手掛けていた頃に、「AIの民主化」というワードが聞こえてくるようになりました。

 その主張自体には共感しつつも、そうして出てくる製品の使い勝手は結局プログラミングをするのと大して違いはなかったのです。これではAI開発はエンジニアだけのもの。そこで、プログラミングやエンジニアリングの知識がなくてもAIを活用できるツールとして、「MatrixFlow」の開発に着手したのがきっかけでした。

 当時は個人で開発しながらオープンソースとして公開していたのですが、多くの方々から反響をいただけたので、こちらに専念するべく2018年10月に起業しました。

 起業直後は資金面だけでなく、技術面でもローカル環境からSaaSへの移行やバックエンド処理などで苦労しましたが、今はバックエンドについては一段落し、UIなど使い勝手を向上させる段階に入っています。

今後の進化で「AIモデルを売買」も可能に?

マスクド ノーコードによるAI開発ツールは、国内外を含めていくつか製品が提供されています。MatrixFlowの強みは何ですか?

田本さん エンジニアではない一般的なユーザーにとって使いやすいことを重要視しています。

 例えば需要予測の機能でも、在庫管理や価格予測など複数の目的がありますが、ユーザーに詳しい知識がなくても目的に応じて最適な機能を使えるようにします。ユーザー自身の「何のために使うか?」「何をしたいのか?」という視点から、検索やレコメンドによって最適な機能を選択できるようにしていきます。

 今後の機能にはなりますが、ユーザーが作成したAIモデルの売買やユーザー同士のコミュニケーションといったエコシステムも作り上げていく予定です。

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