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「国家公務員の定年延長」で、企業でも改革が加速する3つの理由定年延長のリアル(番外編)(1/4 ページ)

» 2021年04月07日 08時30分 公開

 先日、政府・与党が国家公務員の定年年齢引き上げを柱とする国家公務員法の改正案を今国会へ再提出する方針であることを、新聞各紙が伝えました。

 ご存じの方も多いように、同法案は2020年の通常国会で一度廃案となっています。当時は、いわゆる「束ね法案」として同時に議論されていた、検察庁法の改正案が世論から批判を受け、国家公務員法の改正案も立ち消えとなっていました。なお、今回の再提出では、検察庁法改正案については「検察幹部の定年を延長できる特例規程」の部分が削除されるようです。

photo 写真はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

 ところで「定年延長のリアル」と題した筆者の連載でも述べていますが、民間企業を対象とした高年齢者雇用安定法では、60歳以上への定年年齢の引き上げを完全に義務化しているわけではありません。同法では(1)65歳までの定年引き上げ、(2)65歳までの継続雇用制度の導入、(3)定年廃止のいずれかの措置を講ずることを企業に義務付けています。

 21年4月の改正高年齢者雇用安定法の内容も、65歳から70歳までの雇用確保措置について「努力義務」とされたもので、これも「定年引き上げの義務化」ではありません。従って、今国会で国家公務員法改正案が成立すれば、おそらく民間企業に先駆けた「定年延長の法制化」になりそうです。

 本件は民間企業には直接関係ないと見る向きもあるでしょうが、国家公務員法改正案が成立すれば、民間企業の今後の定年延長に向けた改革にも大きく影響を与えることになると考えられます。その主な理由について、これまでの連載の内容にも触れながら解説します。

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