LINEがユーザー情報の管理を巡る問題で開いた3月23日の記者会見で、同社の舛田淳取締役は、ユーザー情報を海外のデータセンターに保管していた理由を説明した。保管データの日本移転については「段階的に移管せざるを得ないが、重要と考えているので準備と投資をしていきたい」と話している。
LINEはトーク機能のテキストデータを日本のデータセンターで保管する一方、画像や動画ファイルは韓国のデータセンターで保管していた。いずれも暗号化されており、台湾など他の国・地域のユーザーデータも同様。トーク内容のモニタリングに限っては各国の現地法人で行っていたという。
韓国のデータセンターに保管していたのはトーク機能の画像・動画に限らない。例えばオンライン診療サービス「LINEドクター」では、健康保険証、領収書、明細書、医師の本人確認書類、医師免許証などの情報も保管・管理していたという。
池邉智洋上級執行役員によると、いずれのデータも各サーバでバックアップは取っているものの、永久的に保管はしない。一定期間が過ぎるとアクセスできない仕組みで、これはユーザーの利便性確保によるものという。
具体的な保管期間については「期間は細かくお伝えすることはできないが、数年とかではなくもう少し短い期間だ」としている。サービスによっても保管期間は異なるという。
なぜ画像と動画を韓国で保管していたのか。この理由について、舛田取締役は海外ユーザーの存在や技術的制約を挙げている。LINEは現在、台湾やタイ、インドネシア、ロシア、中東などでもサービスを展開している。「日本国内だけのサービスなら全てのサーバは最も近いところにあるのがいいが、画像、動画はデータサイズが大きい。サービス内容を考えたときに、速さが大事」(舛田取締役)
一方で、日本での事業拡大に伴い、データセンターを日本に移管する動きは以前からあったという。例えば、LINEアプリ内で匿名で交流できるチャットサービス「オープンチャット」の動画・画像ファイルは19年から順次日本に移し始めていたという。
日本では約8600万人のユーザーを抱えるLINE。データセンターの運営には低いレイテンシ(反応時間)や高度なセキュリティレベルが求められるとして、舛田取締役はデータの保管に韓国を選んだ理由について「高度なデータセンター業務に対応できる人材がいるかを考えた結果、NAVERが親会社だったので、その中でリーズナブルなところを選んだ」と明らかにした。
LINEの前身は、韓国のインターネットサービス会社・NAVERのオンラインゲームサイトの日本法人として設立された。その後、「NHN Japan」を経て、2013年に社名をLINEとした。現在もNAVERはソフトバンクとともにLINEの親会社Zホールディングスに出資している。
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