マーケティング・シンカ論

インサイドセールスは「売り込むな!」 成功のカギ、“顧客視点”の持ち方、磨き方ヴィジュアル系が語る!会社を強くするインサイドセールス(3)(1/2 ページ)

» 2021年02月24日 07時00分 公開
[堤貴宏ITmedia]

 皆さま、こんにちは。SNSマーケティング支援を行うホットリンクでインサイドセールスを担当している、堤です。13年間ヴィジュアル系バンドのギタリストとして活動し、引退後、ビジネスマンに転向してインサイドセールス職に従事しています。

 インサイドセールスの仕事は商談を作ることです。しかし「無理なアポイント」を設定することは社内にとっても、顧客にとってもいい結果につながりません。今回の記事では、営業(フィールドセールス)やカスタマーサクセスと摩擦を生まず、顧客とも親身に向き合うために、インサイドセールスはどのような意識を持つべきか、そしてそれを身に着けるための勉強法について紹介します。

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連載:ヴィジュアル系が語る!会社を強くするインサイドセールス

SNSマーケティング支援を行うホットリンク(東京都千代田区)のインサイドセールス担当として日々業務に努める傍ら、「ヴィジュアル系インサイドセールス」として情報発信を行う堤貴宏さんが、インサイドセールスについて愛をこめてお届けする連載です。インサイドセールス部の立ち上げ経験や、セカンドキャリアとしてインサイドセールスを選んだ経験を生かして解説します。

Twitter:@hotto_mihiro


インサイドセールスは会社の顔

 インサイドセールスは、多くの見込み客とのファーストコンタクトを担当します。そのため、時には会社のイメージを左右します。

 突然ですが、このような営業を受けた経験はないでしょうか?

 電話に出ると、一方的に質問をされる。回答によって、対象顧客ではないと判断されたらぶっきらぼうに電話を切られる。業務中に時間を奪われた上に不快な気分にまでさせられ、いったいどんな会社なのかと会社名を検索する。この会社はどんな教育をしているんだろうかと考える――。

 強引で質の悪い営業を行い続けることは、会社のイメージを悪くしてしまう可能性があります。インサイドセールスは会社の顔であり、外部へのイメージを決定づける重要なポジションなのです。

「無理なアポイント」が生む、他部署との摩擦

 インサイドセールスにとって、強引にアポを取ることはそれほど難しくありません。例えば「検討時期ではない」「予算は絶対に出ない」と顧客が話したとしても「情報交換だけでも構いません」と伝えてアポを取ることができるからです。

 もちろん、それでも将来的に見込みがあるから一度情報を伝えたいという目的でアポを取るなど、フィールドセールスと合意した上での戦略であれば問題ありません。しかし、社内でうまく戦略を共有できていない場合は、インサイドセールスはひたすらアポの数を追い、フィールドセールスは受注できない商談を続けることになります。

 そうなると次第に、お互い不満が募っていきます。インサイドセールスは「こんなにアポを取っているのになぜ受注できないのか?」と考え、フィールドセールスは「質の悪いアポばっかり取るなよ」と考える、といった状況です。

 これらを言い合い、改善できる関係が構築できていればまだ良いのですが、そうでない場合、埋められない感情の溝が部門間で生まれてしまいます。

 さらには「マーケティング部の獲得するリードの質が悪いからだ」とマーケティング部に不満が飛び火したりもします。

 これは、いわゆる「THE MODEL型」、つまり分業型の組織で、残念ながらよく起こっているケースです。

THE MODELとは

営業のプロセスを「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」の4つの部門に分業するモデル。セールスフォースドットコム社が提案し、書籍『THE MODEL』(福田康隆著、翔泳社)により広まった。

「他責のマインド」を持たない組織にする手法例

 これを防ぐためには、分業型であっても共通のビジョンを持つ文化を形成する必要があります。定期的に合同のミーティングを開催しコミュニケーションを取る企業が多いですが、その他にもさまざまな方法があります。

 私の周りで面白いと思った取り組みでは、一定期間、各部門のメンバーを入れ替えるという方法がありました。

 マーケティング部がリードを獲得するのがどれだけ大変なのか、インサイドセールスがアポを取ることがどれだけ泥臭い活動なのか、フィールドセールスの商談がどれだけハイレベルなのか、カスタマーサクセスがどれだけ顧客の理解に力を入れているのか……。結局、自分で現場を体験しなければ真の部分まで分からないものです。

 この例ではお互いの仕事を体験したことにより、各部門で文句や責任の押し付け合いをするのではなく、リスペクトを持つようになったとのことです。

 このやり方は一例ですが、大事なのはメンバー全員が「他責のマインド」を持たないことです。同じ会社で、売り上げを高める、顧客に貢献するという目的は共通のはずです。部門で分断せずに、ゴールは共通である認識を持つことが重要です。

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