コロナ後にカギを握るのは? 米国、食品スーパーの動向さまざまな取り組み(1/4 ページ)

» 2021年02月25日 07時47分 公開
[藤井薫ITmedia]

 さまざまな業界に切り込んできた米オンライン小売り大手アマゾンが、2017年に高級オーガニックスーパーのWhole Foods(ホール・フーズ)を買収した際、危機感を抱いたのは食品スーパー業界だった。

 いよいよ、食品スーパー業界にもデジタルの波がやってくるのかと話題になったのを覚えているが、そのころから、食品スーパー業界がアマゾンの動向に注目しながらEコマースの導入に本腰を入れ始めた。

 そして、新型コロナウイルスの感染拡大によって、食品スーパーのEコマースビジネスは急速に発展することになった。もちろん当時は誰にもこうした状況になるとは想像がつかなかった。外出禁止命令や感染予防対策などで、外食や買い物が自由にできなくなったこともあり、食品スーパーそのものは一時的に売り上げを伸ばしている。それに加え、コロナ下で消費者の購買パターンが変化し、初めてネットスーパーを利用する顧客も急増した。

米国の食品スーパーでも、Eコマースが急速に発展している

 だがそれもコロナ禍での話。本当の真価が問われるのは、コロナ後にどれだけ顧客をつなぎ止められるかにかかっている。そのカギを握るのが、食品スーパーのEコマースビジネスなのだ。

 今まさにネットスーパーのブームに沸く米国では、食品スーパーのEコマースビジネスは企業の核として重要な位置付けとなっている。そのため、企業はEコマースの環境を整え、利便性を上げるためのさまざまな取り組みを試みている。

 その取り組みの一つが、ネットスーパーのプラットフォームをより充実させることだ。例えば、小売り最大手のウォルマートは、別々に展開していたネットストアの「Walmart.com」と食料品に特化したネットスーパーの「Walmart Grocery」のアプリを合併させたばかりだ。これにより、自転車から食料品まで店舗で取り扱うさまざまな商品を一括で購入することができるようになり、より便利になった。

 また、ネットスーパーをより利用しやすくするため、外部で提供する便利なサービスをプラットフォームに組み込む企業も増えている。そのサービスというのが、自宅で料理をすることが増え、メニューに悩む消費者向けに献立作りをサポートするオンラインサービスの「Dinner Daily(ディナーデイリー)」や「eMeals(イーミールズ)」との提携だ。

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