Clubhouseに関わるAgoraとZoom、2人の中国系創業者の意外な接点浦上早苗「中国式ニューエコノミー」(1/5 ページ)

» 2021年02月25日 07時00分 公開
[浦上早苗ITmedia]

 ブームの最盛期は一服した感があるが、ユーザーを順調に伸ばしている音声SNS「Clubhouse」。

 海外のソーシャルメディアを厳しく制限している中国でも当初はアクセスできたため、テクノロジーやベンチャーキャピタル(VC)業界の関係者が、寄ってたかってアプリを試し、論評し、模倣している。

 Clubhouseに音声技術を提供しているのが中国企業「Agora(声網)」であることも明らかになり、AgoraとZoomの創業者の意外な接点も見えてきた。Clubhouseと中国にまつわる興味深いトピックを3つに分けて紹介する。

今回は、Clubhouseと中国にまつわる興味深い3つのトピックを紹介する

1.「中国版Clubhouse」が100以上出現

 iOS端末でしか利用できないにも関わらず、日本で非常に短期間で浸透したClubhouse。対して中国は、短期間どころか隕石のように一瞬でブームがやってきた。きっかけはテスラCEOのイーロン・マスク氏が20年1月31日(現地時間)に「今夜、Clubhouseで配信する」と投稿したことだ。

 テスラは中国に工場を作って「モデル3」を売りまくり、中国の経営者はマスク氏に憧れEVメーカーを立ち上げている。テスラと中国は共存共栄の関係にあるといってよい。カリスマ起業家の生の声を聞こうと、その日のうちに招待枠の転売が激化し、現地SNSのウェイボ(微博)、WeChat(微信)などでも、Clubhouse関連の投稿で持ち切りとなった。

 ウェイボのような競合企業のCEOも敵情視察のためか、早い時点でClubhouseに参加し、さらに話題性が高まった。ほとんどの中国人が「中国政府に早晩ブロックされる」と考えていたことも、規制前のアカウント取得という駆け込みラッシュにつながった(そして大方の予想通り、Clubhouseは2月8日に中国でアクセスできなくなった)。

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