中小企業のゼロトラスト実現に“ちょうどいい”機能を月額で NTTPC、新サービスの中身は

組織のテレワークやクラウドサービスの利用が広がる中、セキュリティの“新常態”としてゼロトラストが注目されて久しい。NTTPCが発表した中堅中小向け製品は、大規模な初期投資が不要で、かつ中小のニーズに合った機能を提供するという。同社が目指す中小向けの“ちょうどいい”内容とは何か。

» 2021年02月16日 07時30分 公開
[阿久津良和ITmedia]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

 企業向けセキュリティのアプローチとしてゼロトラストが注目を集める中、中堅中小企業向けのサービスをNTTPCコミュニケーションズ(以下、NTTPC)が発表した。同社は2021年2月9日、中堅中小企業向け向けの新サービス「Secure Access Gateway」について記者発表会を開催した。

 昨今のセキュリティ対策はファイアウォールなどで社内外を区切る境界型から、性悪説の観点でネットワークトラフィックを全て信頼せず、IDを基盤にネットワークパケットの監査やログを精査するゼロトラスト型に移行しつつある。

 コロナ禍でテレワークが普及した現在、境界型セキュリティで自社資産や従業員が利用するデバイスの保護は難しい。SaaS利用の増加も相まって、社内外のネットワークの境界は不明確になってしまった。NTTPCの三澤 響氏(サービスクリエーション本部 本部長)は「これまでの企業内ネットワークは『センター集約型』が中心。集約することでセキュリティの一括管理やコスト最適化といった利点を生み出していたが、コロナ禍でネットワークを取り巻く環境が変化している」と話す。

NTTPCの三澤 響氏

 その上で同氏は、ゼロトラスト向け製品の課題について、包括的なWANやネットワークセキュリティ機能を提供するSASE(Secure Access Service Edge)ソリューションに「高機能を備えたものが多く、多くの投資が必要だ。さらに機能を使いこなすための能力が求められ、(実質的に)大企業向けソリューションになっている」と話す。

 「今後の企業内ネットワークは、SaaSを混雑なく利用でき、リモートアクセスの利用やゼロトラストに対応する必要がある」と同氏は話す。大規模な投資やDX人材を要するSASEソリューションを、国内企業の9割を占める中堅中小企業が導入することは容易ではない。

 経済産業省は2020年12月28日に発表した「DXレポート2 中間取りまとめ」において、「中小企業のデジタル化推進施策の普及展開」「中小企業向けDX推進指標の策定」などを提言したものの、企業の9割以上を「DX未着手企業」もしくは「DX途上企業」に分類した。同レポートは「顧客の変化に対応するにはデジタルは必須。ビジネスを今変化させなければ、デジタル競争の敗者となる」としている。

中小企業向けのゼロトラスト 「シンプルで導入が楽」をどう実現するのか

 NTTPCは、中堅中小企業のDX推進に向けて「初期投資の負担をなくし、DX人材をさほど必要としないサービスが必要」との判断から、Secure Access Gatewayの提供に着手したという。

 三澤氏は「シンプルで分かりやすく、安価に利用できる(ゼロトラスト向け)サービスは広まっていない。中堅中小企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためには必要不可欠だ」と説明する。

Secure Access Gatewayのサービスイメージ(出典:NTTPC)

 Secure Access Gatewayはセキュリティ、ネットワークアクセス、マネジメントの3機能を提供する。機能の詳細は以下だ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ