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平井大臣、COCOAに苦言 「出来のいいアプリではなかった」「発注にも問題あった」

» 2021年02月10日 17時16分 公開
[樋口隆充ITmedia]

 平井卓也デジタル改革担当相が2月9日の会見で、政府の接触確認アプリ「COCOA」の障害に言及し、「あまり出来の良いアプリではなかった」と苦言を呈した。平井氏は5日の会見でもCOCOAに言及しており、9月のデジタル庁創設後は緊急性の高いアプリやシステムについて「(デジタル庁で)自ら開発し、責任をもってやりきる」と述べている。

photo 会見する平井大臣(出典:政府インターネットテレビ)

 COCOAを巡っては3日、新型コロナウイルス陽性者と接触したユーザーへの通知が送られない障害がAndroid版アプリで見つかった。2020年9月28日付で行われたアプリのアップデートが原因という。

 平井氏は会見で「デジタル系で国民の期待に応えられないような事案が結構出てきた。COCOAはその最たるもの」と発言。アプリ開発の多重下請け構造や入札方法に問題があったのではないかとの報道陣の質問に対し、「COCOAに関してはいろいろな問題がある」とした上で、「そもそも発注自体にも問題があったと言わざるを得ない」と批判。発注金額に関しても「とてつもなく高い」と指摘した。

 政府は2020年6月、COCOAの工程管理をパーソルプロセス&テクノロジー(東京都江東区)に約3億円で発注したと発表。その後、日本マイクロソフトとFIXER(東京都港区)の2社に再委託されたという。

 パーソルプロセス&テクノロジーは、厚労省の「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム」(HER-SYS:Health Center Real-time Information-sharing System、ハーシス)とCOCOAを連携させる機能の開発も担っていたとされている。これらを受け、平井氏は厚労省へのヒアリングを基に、今後の方針を検討するという。

photo COCOAの周知ポスター(出典:厚生労働省公式ページ)

 COCOAで発生した障害の背景には、日本の公務員の業務体制にも要因があるとみているようだ。平井氏は「今までのIT投資は政府の役人が、本来業務と片手間でやる人が多かった。実際の業務に詳しいのは大事だが、専らシステム開発やUIなど国民の期待に応える時間がない人がシステム担当だったことが多かった事実もあるのではないか」との考えを示し、「アプリ系の話は完成形がないのが基本。常にバージョンアップ。そういう機能を持つことができるものもデジタル庁だ」とコメントした。

 東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会は7月からの大会期間中、海外からの関係者にCOCOAのダウンロードを必須とする方針を示している。今後に向けて平井氏は、「デジタル庁として国を代表する形でGoogleやAppleの本国とダイレクトにやりとりしていく」と改善に意欲を示した。

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