テレワーク前提時代に知っておきたい「UC」市場の4大トレンド予測不可能な時代の道しるべ

新型コロナウイルス感染症の今後の状況はいまだ不透明で、2021年は不確実性に満ちている。これからの新しい働き方を模索する上で知っておきたい、ユニファイドコミュニケーション(UC)の4つのトレンドを紹介する。

2021年02月04日 05時00分 公開
[Irwin LazarTechTarget]

 2020年のユニファイドコミュニケーション(UC)市場は、かつてない変化に直面した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が、企業のビジネスのやり方に劇的な影響を与えたからだ。企業はチームがリモートでも機能するためのさまざまなアプリケーションを急ピッチで導入した。大抵の企業では、アプリケーションの徹底的な評価をしたり、統一的な戦略を立てたりする時間がほとんど取れていなかった。

 パンデミックの今後の状況や、ワクチンが行き渡る時期は不透明で流動的だ。とはいえ2021年を展望すると、UC市場にはITリーダーの年度計画の背景となる幾つかの将来トレンドが現れている。

1.働く場の再構築

 「いつの日か、ほとんどの従業員がオフィスでフルタイム勤務していたような、パンデミック前のやり方に戻ろう」という機運はほとんど感じられない。今後の従業員の勤務形態は「フルタイムのオフィス勤務」「フルタイムのテレワーク」「出社とテレワークの併用」という3つが混在するようになると考えられる。

 これはITリーダーが物理的なオフィスの見直しをしなければならないことを意味する。例えばWeb会議ツールをどこでも使えるようにする必要がある。さまざまな場所で働く従業員が会議に参加するからだ。オフィスの形式も、従業員が自分専用の固定席を持っていた従来形式から、PCや場所を予約して利用するフリーアドレス形式に取って代わられそうだ。生産性の阻害要因を解消するために、ビジネスチャットツールの使い勝手を向上させたり、ワークフローシステムとの連携を継続して推進したりすることも必要になる。

2.ベンダーの再編

 UC市場はベンダーの再編が続く可能性がある。特定分野に強いベンダーが製品ラインアップを広げ、音声通話、Web会議、ビジネスチャットを連携可能な製品を提供しようと買収を進めているからだ。2020年もさまざまな買収や合併があり、最近ではSalesforce(salesforce.com)がSlack Technologiesを約277億ドルで買収すると発表した。

 ユーザー企業側も、スタンドアロン製品からスイート製品への置き換えを積極的に進める可能性がある。コストの削減や管理の複雑さの軽減などが狙いだ。

3.リモート管理

 テレワーカーの管理は、企業が2020年に直面した最大の課題だった。2021年も引き続き大きな難題となるだろう。調査会社Nemertes Researchの調査によると、企業は生産性の確保やセキュリティ対策、アプリケーションパフォーマンス管理、テレワーカーの組織関与度の測定に苦労している。今後は従業員のパフォーマンスに関するインサイト(洞察)を管理者に提供するとともに、一貫したポリシー強制を実現する分析ツール、そしてセキュリティや管理のためのシステムの進化と導入が進むだろう。

4.テレワーク用ITの最適化

 企業はより積極的なアプローチで、テレワークに使うITの最適化に取り組むはずだ。例えば従業員の高品質な体験を確保するために、音声・映像機器やその管理ツールに投資すると考えられる。続々と登場しているバーチャル背景といったビジュアル機能をいかに活用するかにも注力するだろう。これらの機能は、会議における対話の活性化を、そしてあえて言えば「会議を楽しくすること」を目的としている。


 2020年は、世界的な混乱と変化という点で未曽有の年となった。2021年には、かつての普通の生活を取り戻す道筋が見えてくることを期待している。

 ただしパンデミック後のニューノーマル(新常態)でも、UC製品を管理するITリーダーは、テレワークをいかにサポートし、従業員エクスペリエンスをいかに最適化するかに注力し続ける必要がある。4つのトレンドはITリーダーにとって、UC製品の購入判断や戦略を左右することになるだろう。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

事例 キヤノンマーケティングジャパン株式会社

受領書のデータ化で課題を解消、福岡運輸に見る“紙”からの脱却がもたらす効果

受領書管理を紙ベースで行っていたことで、問い合わせ対応の遅滞や業務負荷の高さが課題となっていた福岡運輸。同社は、受領書をデータ化し、配送情報と自動照合できる仕組みを構築して課題を一掃した。同社の取り組みを紹介する。

事例 株式会社イージフ

コラボツールだらけの今、「ドキュメント管理」に求められる機能とは?

情報の量と種類が急増する今、社内の各種ツールに散在する情報を単一の保存先で管理することはますます難しくなった。こうした情報を部門を超えて連携させて、効率的に活用するには、どうすればよいのか。4社の事例を基に、解決策を探る。

製品資料 NTTドコモビジネス株式会社

製造、建設、小売・流通、広告、商社における「クラウドストレージ」活用事例

企業における情報共有は社外へと拡大しており、各業界では多様な対応が求められている。製造、小売、商社など5つの業界における情報共有のニーズを整理し、先進のクラウドストレージがこれらにどう応えるのか、具体的な活用例を紹介する。

事例 Tebiki株式会社

製造現場の従業員教育を改善、作成・管理も簡単な動画マニュアルとは?

製造企業は、生産性を向上させつつ、安全で高品質な製品を作り出していかなければならない。ただし、このミッションを円滑に進めていくためには、現場における「教育」の課題を徹底的に解消する必要がある。

製品資料 Nishika株式会社

情報漏えいのリスクを排除しつつ、議事録作成の効率を上げる方法とは?

議事録作成は手間のかかる作業だ。最近はその作業を効率化するツールも出ているが、セキュリティポリシーの関係で内部の情報を外に出せない公的機関や民間企業も多い。情報漏えいリスクを排除しながら議事録作成の効率を上げる方法を探る。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

なぜクラウド全盛の今「メインフレーム」が再び脚光を浴びるのか

なぜクラウド全盛の今「メインフレーム」が再び脚光を浴びるのか
メインフレームを支える人材の高齢化が進み、企業の基幹IT運用に大きなリスクが迫っている。一方で、メインフレームは再評価の時を迎えている。

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...