日本企業のデジタル化は世界から約2年の後れ CIOが即実行すべきこととは――ガートナー提言

世界74カ国のCIOを対象にしたガートナーの調査によると、日本企業のデジタル化は加速してはいるものの、世界のトレンドラインから約2年の後れを取っていることが判明。デジタルビジネスをより速く進展させ、グローバルにおける自社の競争力を高めるために、日本企業のCIOが実行すべき3つのアクションとは何か。

» 2021年02月02日 13時00分 公開
[金澤雅子ITmedia]

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 ガートナー ジャパン(以下、ガートナー)は2021年2月1日、世界のCIO(最高情報責任者)を対象にした調査から、日本企業のデジタル化の取り組みは加速してはいるものの、世界のトレンドラインから約2年の後れを取っているとの見解を発表した。

 同調査は、「2021年 CIOアジェンダ・サーベイ」と題し、世界74カ国の主要業種に属する企業のCIO1877人を対象に2020年7月14日から8月14日に実施したもの。日本企業からの回答者は147人。

日本企業のデジタル化は着実に進むが、デジタルイニシアチブに懸念も

 同調査から、世界の企業の中でデジタルビジネストランスフォーメーションが「成熟」段階にある割合は、2018年の33%から2020年の調査時には48%へと増加したことが判明。一方、「成熟」段階にある日本企業の割合は、2018年の23%から2020年には37%へと上昇していることが分かった。

 日本企業は、デジタル化の成熟という面で、2018年の時点で世界に約10ポイントの後れを取っており、2020年も10ポイント程度の後れを取っている。しかしながら、ガートナーでは、これは日本企業が世界の企業のペースに追随している表れということができ、日本企業のデジタル化は着実に進んでいるとみている。

 その最大の理由として、日本企業が調査時までに受けた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック(世界的大流行)の衝撃が比較的小さかったことと、デジタル化への着実な投資によって成熟度を改善できたことを挙げている。

 一方で、「デジタルイニシアチブがない」と回答した割合は、世界企業の平均が14%だったのに対し、日本企業の割合は19%と高い割合になった点を懸念材料と指摘している。

 ただし、2021年には日本政府によるデジタル庁構想の進展や行政のデジタル化の取り組みが見込まれることから、これらが日本企業のデジタル化の加速につながる要因になるとしている。

日本企業は、世界のトレンドラインから約2年の後れ

 また、調査結果を基に「デジタル由来の売り上げ」と「デジタル化されたプロセス」の両方の割合を比較したところ、日本企業は現時点で、全業界において、世界のトレンドラインから約2年の後れを取っていることが明らかになった。

Photo 2021年のCIOアジェンダ:デジタル化への旅のプロット図(出典:ガートナー ジャパン、2021年2月)

 これを受け、ガートナーでは、日本企業に対して、デジタルビジネストランスフォーメーションを加速させて「デジタルビジネス」と「デジタル化された社内業務プロセス」の両方を目指し、持続可能な新しいビジネスモデルの領域に進むべきだと提言している。

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