目玉は「終電繰り上げ」だけ? ダイヤ改正で読み解くJRの“真意”JR東海の在来線には大きな変化なし(1/4 ページ)

» 2021年01月22日 05時00分 公開
[岸田法眼ITmedia]

 例年、JRグループは12月の第3金曜日の14時頃、翌年3月に実施するダイヤ改正の概要を発表している。今回は新型コロナウイルスの影響で大幅な減収を余儀なくされ、収束の見通しが立っていない。また、在宅勤務、リモートワークの浸透もあり、2020年2月以前の状態に戻らない可能性もあることから、列車の運転本数を減らしたのが特徴だ。

 JR各社のニュースリリースを基に、注目ポイントをいくつか挙げてみよう。

私鉄も含め、今春のダイヤ改正は、最終列車の繰り上げが強調されている

最終列車の繰り上げが目立つ

 今回のダイヤ改正は、在来線最終列車の繰り上げが目立つ。理由として、乗客の減少、コスト削減のほか、保守・点検作業の時間確保が挙げられる。日本の鉄道は発展とともに、列車の増発や高速化、安全対策の強化が進んだ。また、都市部を中心に、公道との平面交差が発生するところでは、高架化や地下化といった立体交差も進み、保守・点検作業も手間を要している。

 特に、立体交差化すると、輸送力増強や老朽化に伴う建て直しが困難である。年月が経過すると、常に老朽化と闘わなければならなくなる。また、地平以上に厳しい保守環境を強いられる。近年は都市部を中心に、ホームドアやロープ柵の設置が進み、点検作業の項目が増えた。

 仮に、新型コロナウイルスを木っ端みじんに蹴散らしたとしても、少子高齢化や人口減少の影響で、鉄道の利用客減少が避けられない。22年以降、最終列車がさらに繰り上げられ、保守・点検の作業時間が増えることも考えられる。

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