世界中の自動車生産工場が新型コロナウイルスに翻弄されている。感染により操業停止を余儀なくされた工場もあり、また海外の生産拠点のいくつかはロックダウンによっても操業を停止させられた。しかしコロナ禍によるクルマでの移動の安心感や、ロックダウン後の需要の反動により、2020年後半は急速に業績を回復させた自動車メーカーも多い。
ところが、ここへきて再び生産を調整しなければならない状況に追い込まれている。トヨタは米国や中国で減産を、ホンダは国内と米国、中国での減産、スバルも米国と国内の工場での減産をそれぞれ明らかにしている。日産は国内工場で長期的な生産調整の可能性を認めている。日本メーカーだけではない。ドイツのフォルクスワーゲンも欧州と米国、中国での減産を発表した。その理由となっているのが、半導体部品の不足だ。
クルマは、ほとんどの工業製品における生産技術を駆使して作られる、工業技術の見本市のような商品だ。それだけに最新の電子制御やIoT技術が盛り込まれており、ワイヤーハーネスを簡素化するためにボディのあらゆるところにマイコンが組み込まれ、車内通信によって機能している。
車種やメーカーによって差はあるものの、クルマには50個から80個ものマイコンが組み込まれているといわれる。さらにセンサーやメモリなど半導体を使った部品は、クルマの至るところに組み込まれている。ガソリン車であっても、「クルマは電気で動いている」といわれるほど、エンジン以外の駆動は電気仕掛けなのだ。
そんな構造であるから、半導体が不足すれば、たちまち生産が立ち行かなくなる。それが今、起こっているのである。
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