住民や店主を悩ます街の「落書き」対策 ビジネスと課題解決の両立を目指す東急の狙いアート作品を展示(1/3 ページ)

» 2021年01月19日 05時00分 公開
[ITmedia]

 人通りが少ない場所にある壁の落書きに悩む人は多い。東急は、2018年7月から店舗や住居などの未活用壁面を借用して、プロモーションやアート作品の展示などを行う「ROADCAST(ロードキャスト)」という事業を展開している。現在、160カ所で作品などの展示を行っているという(2020年12月中旬時点)。街の活性化とビジネスをどのように両立させようとしているのか。同社のプロジェクトリーダーである片山幹健氏に話を聞いた。

落書きに悩まされていた壁(提供:東急株式会社)
落書きを消した後(提供:東急株式会社)

アーティストの作品で景観向上

 ROADCASTは、東急が15年4月に創設した「社内起業家育成制度」の第4号案件。海外で、アーティストの作品を利用して街の景観を良くする活動が行われていることを片山氏が知り、「同じようなことが日本でもできないか」と考えたのが、事業化のきっかけだという。東急の本社は東京・渋谷にあるが、このエリアでは落書きに悩まされている建物が多かったことも背景にある。

 当初、片山氏がビルのオーナーに「ROADCASTに参加しませんか?」と呼び掛けても、「何をやるのかよく分からない」という反応が多かったという。しかし、東急グループの物件で、実際にいくつかの企画を実施。作品が展示してある写真を見せると、「落書きの抑止になるだけでなく、街のにぎやかしになる」というメリットを理解してもらえるようになった。

 ROADCASTに参加すると、運営サイドから作品の掲出範囲や方法・広告収入が提案される。掲出デザインを確認し、特に問題がなければオーナーは広告収入を得られるという仕組みだ。

プロジェクトの概要(出所:リリース)
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