日本を変える「テレワーク」

リモートワーク、社員をどう管理する? 4つの成功ポイント「仕事の進捗がみえにくい」などの課題(1/2 ページ)

» 2020年08月14日 07時00分 公開
[人事実務]

 今回の新型コロナウイルス感染拡大に伴い、試行錯誤を繰り返しながら急速に在宅勤務が広がってきている。そのような中、社員のコンディションが分からない、仕事の進捗がみえにくい、パフォーマンスが下がりがち、といったテレワーク特有のマネジメント上の課題が浮き彫りになってきている。これらの課題に対して、企業としてはどのような対応がなされているか? 代表的な取り組み事例から、リモートワークを成功させるポイントをみていく。

人事月刊誌『人事実務』〜これからの働き方とキャリア形成〜

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 『人事実務』誌は、産労総合研究所(創立1938年)が発行する人事専門情報誌です。

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 本記事は『人事実務』2020年7月号特集「遠隔マネジメント」解説1(著者:吉田寿)を一部抜粋、編集して掲載したものです。

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1. オンライン会議室などの常設

 テレワークの場合、気軽な相談や確認といったリアルタイム・コミュニケーションが取りにくいという問題がある。そこで、その解決策として、始業から終業時間までの終日、所属やチームごとに「オンライン会議室」などを常設している企業がある。

 オンライン会議室の出入りは自由で、質問・相談・報告は、なるべくこの会議室上で行い、全社やチームでの会議を録画して全体に展開する。加えて、部下やメンバーが当日予定している業務とその振り返りを、始業時と終業時に投稿するというルールを設け、チェック・確認を行う。

 この取り組みは、部下やメンバーを事細かに管理するマイクロマネジメントの趣旨ではなく、会社の方向性や業務に変更が生じていないか否かの相互確認やコミュニケーションの活性化を目的として実施されている。リアルタイムに相談できる環境づくりと担当業務の可視化により、メンバー全員の意識をそろえ、スピーディーに課題解決を行うためのリモートマネジメントと位置付ける。

2. OKRの導入と高頻度の1on1ミーティングの実践

 リモート環境下でも、事業成長のスピードを鈍らせることなく高速化させるための工夫もなされている。例えば、図表のようなOKR(Objectives and Key Results:「目標」と「主要な結果」)と呼ばれる仕組みを導入し、併せて1on1の開催頻度を高めることで、テレワーク開始以前よりも、さらにチームワークの向上を実現しようと取り組んでいる企業もある。

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 OKRについては、IntelやGoogleが導入して成果を上げている目標管理の一種。事業の成長のための「O」(目標)とその達成に必要な要素である「KR」(成果指標)を上司・部下間で合意のうえで設定する。チーム全体で定量・定性両面の共通ゴールを明確化し、進捗確認のミーティングを定期的にもつことでスピードを伴った事業推進を図る。

 また、1on1ミーティングについては、例えば、実施頻度を月1回から隔週に高め、一人一人のコンディションを知るために、冒頭に少し長めの雑談をとり、定期的に仕事の進捗管理を行うことで、パフォーマンスの向上につなげる努力を行っているケースもあった。

3. 仕事の進捗状況の共有とマネジメントのアクション頻度の向上

 リモートワークの環境下では、目標に対する成果のアウトプットをより意識させる必要が出てくる。そこで、目標に対する各メンバーの意識を高め、その目標達成をサポートする「ピープルマネジメント」を強化することを目的に、必要に応じた目標管理シートの更新を任意で増やしているケースもある。

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