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自分も切られる―― 加速する「人減らし」 コロナ禍を生き抜く、“人を守る”知恵河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/4 ページ)

» 2020年08月14日 07時00分 公開
[河合薫ITmedia]

 「あれだけ人手不足人手不足と言っていたのに、今度は人手が余ってる。今は肩たたきする側ですが……。そのうち自分も、と思うとやってられないですよ」

 こう話すのは、部長職の50代の男性です。

 コロナ禍で雇用が不安定になる中、“人減らし”が加速しています。

 総務省が6月末に発表した5月の完全失業者数は198万人に達し、前年同月比33万人増、前月比9万人増で、リーマンショック以来の多さです。6月は195万人と若干減ったように思われがちですが、「前の月から悪くなっていないというだけで、1年前と比べれば大きく悪化しており、新型コロナウイルスの影響が引き続き、表れている。感染が再び拡大しており今後の動向に注視する必要がある」(by 総務省)とのこと。

 また、非正規社員の解雇や雇い止め(契約解除・不更新)も7月1日の時点で3万人を突破(厚労省調べ)。その後も増え続け、7月29日時点で4万32人と1カ月弱で1万人もの人たちが仕事を失ったのです。

 それだけではありません。勤務先から退職を迫られるケースも相次いでいて、中にはパワハラまがいの悪質な行為もあるとされています。

コロナ禍で人減らしが加速、解雇や雇い止めも増えている(写真提供:ゲッティイメージズ)

 もっとも、ここまで急激に“人減らし”が行われているのは、新型コロナ感染拡大の影響が想像以上に長引き、企業も追い込まれていることが大きな要因ですが、「先を見込んで今のうちに」という企業も少なくありません。

 実際、冒頭の男性の企業も、コロナによる影響はさほど受けていないとのこと。コロナ前から始まっていた「もうかっているうちに切ってしまえ!」という新手のリストラが加速したというのです。

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