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法規制変更で仮想通貨ビジネスはどう変わる? GMOコイン社長に聞く(1/3 ページ)

» 2020年08月13日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 改正資金決済法と改正金融商品取引法(金商法)が5月1日から施行された。法律上、仮想通貨から暗号資産に呼び名が変わるほか、レバレッジをかけた差金決済取引(CFD)などのデリバティブ取引が規制され、第一種金融商品取引業者としての登録が必要になる。こうした法規制は仮想通貨取引所のビジネスにどう影響するのか。

 いち早く第一種金融商品取引業者として登録を済ませたGMOコインの石村富隆社長に聞いた。

GMOコインの石村富隆社長

 5月に施行された各種法改正によって、取引所ビジネスにはどのような影響が出る想定でしょうか。また、GMOコインではどのように対応していく方針でしょうか。

石村氏 これまで暗号資産取引は資金決済法に基づいていて、現物の取引が想定されていた。ところが蓋を開けてみると、レバレッジ取引のほうがボリュームがあり、収益性が大きかった。しかし、これまでレバレッジ取引をカバーする法律はなかった。

 いまでこそFXはメジャーだが、FXが始まったときも外為法しかなくて、為替のレバレッジ取引をカバーする法律がなく、FXも金商法に入っていった。同じような流れを経ている。

 レバレッジ取引はリスクも高く、法律がなかったのでいろいろな業種の方が参入してきた。規制当局としてはこれらを金商法でカバーする流れだと認識している。

 金商法の対象になると顧客保護の徹底や求められる資本要件が大きい。資本の増強が必要で、誰もができるビジネスではなくなってきている。実際、第一種金商業者として登録済なのは3社しかない。われわれGMOコインと、楽天ウォレットさんとDMMBitcoinさんだ。

 体制を整えるのも大変だし、資本を調達するのも大変なのでこうなっている。参入障壁が上がってきている。プレイヤーがどんどん絞られてくるのではないか。資本要件を見て、あきらめている業者もあるし、もうレバレッジ取引を止めるというところも出てきている。

 ただし、暗号資産交換業だけでみるとそうだが、金商業者はほかにもある。われわれのグループでいうとGMOクリック証券がそうだし、コインチェックさんならマネックスさんがそう。

 GMOインターネットグループとしてはGMOクリック証券とGMOコインの両方で二重にリソースを食っているが、グループによっては切り分けて、もともと金商法を持っている業者が暗号資産のレバレッジ取引をやる形のところもある。もともとの業者数としては減るが、すでに金商法を持っている事業者の参入はあるだろう。

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