禁止か買収か TikTokがトランプの目の敵にされる「4つの理由」世界を読み解くニュース・サロン(1/6 ページ)

» 2020年08月06日 07時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

 米中の混乱がまた一段と深まっている。今回は、この連載でも何度か取り上げてきたTikTok(ティックトック)を巡る争いだ。

 ドナルド・トランプ米大統領は7月7日、新型コロナウイルスを巡る中国の責任逃れに対する報復として、TikTokを米国で禁止する可能性があると発言し、世界的なニュースとして騒がれた。

 TikTokは、動画を共有できる、若者に人気のモバイル向けアプリで、世界で8億人が使い、15億回ダウンロードされている。米国だけでも7000万人のユーザーがおり、1億6500万のダウンロードを記録している人気アプリだ。

 そのアプリを政府が禁止すると示唆したのだから、ユーザーのみならず、それまでの経緯を知らない多くの人が衝撃を受けた。

人気アプリ「TikTok」を巡って米中の関係がさらに悪化している(写真:ロイター)

 そして8月3日、トランプはTikTokを禁止にするのではなく、米IT大手マイクロソフトにTikTokの米国でのサービス部門を買収させることを容認する方針だと報じられた。ひとまず今後45日以内に、買収交渉で合意するよう求めた。

 これを受けて、中国側は米国が中国企業の人気サービスを奪う「盗人」だと激しく批判した。

 では、なぜ米政府はTikTokを禁止すると言い出しているのか。その裏にはトランプ個人の思惑が見え隠れし、日々悪化していく米中関係の中で、TikTokが人気アプリゆえにつぶされようとしていることが見えてくる。トランプ大統領の真の狙いは何なのか考察してみたい。

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