政府の”景気後退宣言”から考える、コロナとバブル崩壊の意外な共通点古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/3 ページ)

» 2020年07月31日 07時00分 公開
[古田拓也ITmedia]

 コロナ禍の中で、マーケットが企業に下す評価にも明暗が分かれ始めた。ANAホールディングスは7月29日の引け後に2020年4〜6月期決算を発表。売上高は1216億円と、前年同期比でおよそ4分の1となり、最終損益は1088億円の赤字となった。

 一方で快進撃を続けるのが、ITやエレクトロニクス関連の業界だ。ソフトバンクグループは7月29日に株価6739円で引け、ITバブル崩壊前に付けた高値を更新し続けている。ソニーもリーマンショック前に付けた高値を超え、ITバブルの高値から半値まで戻している。

日経平均は2万2000円台で堅調に推移しているが……(イメージ 写真提供:ゲッティイメージズ)

 日経平均株価は、コロナで打撃を受けた企業とそうでない企業が綱引きするかたちとなって2万2000円台で拮抗している状況だ。そんな中、政府は7月、「景気の動向について、実は2018年10月から景気後退に入っていた」という趣旨の認定を行う見通しであることが明らかとなった。これが本当であれば、アベノミクスによる景気回復のピークとなった18年と今の株価が同水準となっていることについて違和感を覚えるかもしれない。

 しかし、景気後退が観測されているにもかかわらず、株価がしばらく堅調に推移することは歴史上、それほど珍しくないのだ。

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