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データサイエンティストが「鬼滅の刃」を読むべき理由マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!(1/3 ページ)

» 2020年07月21日 07時00分 公開

 週刊少年ジャンプの漫画「鬼滅の刃」が、2020年5月に完結しました。アニメ化をきっかけに、漫画売上ランキング上位20位のうち19作が同作(※)という事態を迎えたほどの人気を得ました。

 ITmedia読者の中には「読んでいない」「周囲はハマっているが、自分は興味ない」など、関心を持たない人もいるでしょう。しかしながら、データサイエンティスト視点において鬼滅の刃に学べる点は多々あります。

 本記事では鬼滅の刃の内容が、学生や若手社会人などのデータサイエンティストを目指す人や、現在データサイエンティストとして活躍している人にとってどのように役立つかを紹介します。

 なお、本記事ではアニメ版26話(単行本では7巻序盤)までの展開に触れるため、未見・未読の方はご注意ください。

※2020年2月10〜16日 日本出版販売調べ

連載:マスクド・アナライズのAIベンチャー場外乱闘!

マスク

自称“AI(人工知能)ベンチャーでの経験を基に、情報発信するマスクマン”こと、マスクド・アナライズさんが、AIをめぐる現状について、たっぷりの愛情とちょっぴり刺激的な毒を織り交ぜてお伝えします。今後は、AI情報だけでなくIT業界全般に役立つ情報もお届けしていきます。

お問い合わせのメールは info@maskedanl.com まで。Twitter:@maskedanl

(編集:井上輝一)


竈門炭治郎とデータサイエンティストの成長過程がほぼ一致

 まずはざっくりと、原作の導入部を振り返ってみましょう。鬼滅の刃は、大正時代に生きる少年の竈門炭治郎(かまどたんじろう)が主人公です。山で家族とともに幸せに暮らしていましたが、炭治郎が家を不在にした間に、人間を食う鬼によって家族が惨殺されます。辛うじて生き残った妹の禰豆子(ねづこ)は鬼となってしまい、妹を人間に戻すために炭治郎が立ち上がります。

動機付けの重要性

 物語の序盤で「妹を人間に戻したい」という非常に強力な動機付けがなされており、これは後々の困難に打ち勝っていくための背景になります。

 この時点で炭治郎はごく普通の少年であり、IT業界でいえばデータサイエンティストを目指す学生や未経験の初心者といった位置付けです。データサイエンティストを目指す人においても、同様に動機付けが重要になります。

 データ分析やプログラミングが好きという知的好奇心や、年収や待遇といった魅力もありますが、まずは「なぜデータサイエンティストになりたいのか」を深く掘り下げてみることが大事です。

修行中の炭治郎=基礎を学んでいるデータサイエンティスト

 炭治郎は妹の禰豆子を人間に戻す手掛かりを探すため、鬼と戦う組織である「鬼殺隊」への入隊を目指します。しかし普通の少年がすぐになれるものではなく、師匠の下で厳しい修行に明け暮れて、困難な課題を突破します。

 一連の修行はアニメで2話(劇中の時間では2年)を使って入念に描写されており、こうして鬼殺隊の入門試験である「最終選別」への挑戦が許されます。最終選別では凶暴な鬼がいる森の中で生き延びて、晴れて鬼殺隊に入隊できました。

 このような修行描写は、データサイエンティストに置き換えると基礎的な学習期間に当たります。

 データサイエンティスト志望者が学ぶ環境としては、大学のデータサイエンス学部や、オンライン教材や技術書による独学、スクールに通うなどの選択肢があるでしょう。もっとも、試験や免許制度があるわけではないので、初心者でも“自称”データサイエンティストにはなれます。

 もちろん有名企業に就職するには相応の実力が必要であり、なりたい人は多くても、なれる人は少ないのが実情です。鬼滅の刃では最終選別に20人が臨み、生き残ったのはわずか5人。他の15人は言わずもがなという世界でした。

 以前と比べてデータサイエンティストになるための環境は整備されていますが、初心者が短期間で簡単になれる職業ではありません。仮に実力がないままデータサイエンティストとして就職しても、いずれは淘汰されるでしょう。

活躍できる人としない人
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