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Google、光海底ケーブルを活用して2000km離れた場所の地震検知に成功 将来は津波の検知にも応用可能(1/2 ページ)

» 2020年07月20日 15時22分 公開
[笹田仁ITmedia]

 米Googleは7月17日、光海底ケーブルを利用しておよそ2000km離れた場所で発生した地震を検知したと発表した。使用した機材は地震検知に向けた特別なものではなく、Googleが他社と協力して敷設しているデータ通信用ケーブルだという。同社はこの研究について「まだ始まったばかり」としながらも、津波検知への応用や、波形などのデータ解析に機械学習を利用するアイデアを披露するなど、期待を寄せている。

photo Googleが世界中の通信会社と共同で敷設している光海底ケーブル(出典:Google)

 Googleによると、光ファイバーのセンサー活用に関しては長い研究の歴史があるという。しかし、既存の技術では専用の特別な光ファイバーケーブルや専用の機器が必要で、最大でも100kmほど離れているところの異変しか検知できなかった。

 通信用の光海底ケーブルは、海底に長距離に敷設されており、秒速約20万kmの速度で光信号を送る。送信の途上で信号にひずみが生じるが、信号を受けた機器がデジタル信号処理で補正する。過去の研究では、受信した光信号の偏光状態の変化に注目していた。光海底ケーブルに衝撃が加わると、偏光状態が変化することが分かっていたからだ。しかし、実験に使用した光ケーブルが短く、海の浅いところを通していたため、実用的なデータが得られているとはいえなかった。

 Googleの研究チームは過去の論文から、偏光状態を示す「ストークスパラメーターズ(Stokes parameters)」という4種類の値を解析することで地震を検知できるという仮説を立て、2019年末に実際の光海底ケーブルで実験を始めた。

 当初は何の動きもなかったが、2020年1月28日にジャマイカで発生したマグニチュード7.7の地震を検出することに成功した。地震発生の5分後に、光信号の変化を確認したという。光海底ケーブルから実際の震源地までの距離は、最も近い点でもおよそ1500kmも離れていた。さらに、3月22日に東太平洋で発生したマグニチュード6.1の地震を検知したときは、ケーブルと震源が2000kmほど離れていた。

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