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本格的な撮影が楽しめる公式カメラモジュール「Raspberry Pi High Quality Camera」を試す名刺サイズの超小型PC「ラズパイ」で遊ぶ(第22回)(1/2 ページ)

» 2020年07月17日 07時00分 公開
[岩泉茂ITmedia]

 4月末に登場した「Raspberry Pi High Quality Camera」(以下、HQカメラ)は、カメラモジュール本体に16ミリ望遠レンズや6ミリ広角レンズを取り付けられるユニークな製品です。これまで存在していたピンホールカメラのような「Camera Module V2」とは異なり、まるでレンズ交換式のミラーレス一眼のような気分で本格的な撮影が楽しめます。

 今回は「Raspberry Pi」シリーズの正規販売店としてラズパイ関連商品に特化したECサイト「Raspberry Pi Shop by KSY」を運営するケイエスワイにHQカメラをお借りしたので、導入方法や使い心地を紹介します。

HQカメラ 発売されたHQカメラ(右)と広角レンズ(中)、望遠レンズ(左)

カメラのスペックは?

 HQカメラ本体に搭載されているセンサーは有効1230万画素のソニー製「IMX477R」です。センサーサイズもCamera Module V2よりも大きい1/2.3インチです。以下にHQカメラのスペックを表にしておきました。

HQカメラのスペック
イメージセンサー SONY IMX477R (1290万画素 裏面照射CMOS)
センサーサイズ 対角 7.9ミリ(1/2.3インチ)
有効画素数 4056×3040ピクセル
ピクセルサイズ 1.55×1.55μmピクセル
出力 RAW 12/10/8bit、COMP 8bit
対応レンズ規格 CSマウント、Cマウント(付属アダプター使用時)
バックフォーカス 12.5 mm〜22.4ミリ
ケーブル長 200ミリ
三脚マウント 1/4インチ-20
HQカメラ HQカメラに搭載されているソニー製センサー(中央)
HQカメラ HQカメラ下に用意されている三脚マウント用のネジ穴

 2本のレンズは「CSマウント」「Cマウント」という規格に基づいて作られています。この規格は防犯カメラなどのレンズに使われているので、同時発売された広角、望遠レンズ以外でも、CS/Cマウントに準拠するレンズであれば利用可能です。なお、広角レンズはCSマウント、望遠レンズはCマウントで利用しますが、Cマウントのレンズを使用する場合は、HQカメラに直接つなげるのではなく、Cマウント用のアダプターを使って接続します。

 広角レンズのF値は1.2とかなり明るくなっています。画角は63度あるので、かなり広い範囲を撮影できます。体感的にはCamera Module V2とあまり変わらない画角での撮影が可能です。冒頭で紹介した通り、広角レンズの焦点距離は6ミリ、望遠レンズは16ミリです。

 望遠レンズはかなり寄っての撮影ができます。ただしズームレンズではないので、どこかの場所を拡大して撮影することになります。

HQカメラ 広角レンズ
HQカメラ 広角レンズ正面
HQカメラ 望遠レンズ
HQカメラ 望遠レンズ正面
HQカメラ Cマウント用のアダプター

 レンズ側には絞りとフォーカスがあり、この2か所を調節して撮影します。絞りは「OPEN⇔CLOSE」、フォーカスは「NEAR⇔FAR」を回して調整します。絞りは「CLOSE」方向に回せば絞り値を上げられます。

 またフォーカスについては、まずはHQカメラに付いているリングを回してバックフォーカスを調整して固定し、続いて近くの物体では時計回り、遠くにある物体の場合は反時計回りに回して調整します。回転を固定するためのネジがついているので、これを緩めつつピントを合わせていきます。

 ピントを調整をするには、ラズパイにディスプレイをつなげ、画像を映しながらでないとかなり厳しいです。そこで「Picamera」というカメラを動かすライブラリを使って、以下のようなPythonプログラムを作りました。

#!/usr/bin/env python
# -*- coding: utf-8 -*-
import picamera
import time
 
camera = picamera.PiCamera()
try:
# プレビューを表示
    camera.start_preview()
    time.sleep(180) # 秒数を入力
    camera.stop_preview()
except KeyboardInterrupt:
    camera.close()
    print('\n')

 これを「pinttest.py」などの名前で保存しましょう。保存したら

$ python pinttest.py

 と実行すると、ディスプレイにカメラの画像が映し出されますので、絞りとピントを回しながら調整するといいでしょう。「#秒数を入力」とあるところの数字を変化させると、映し出される時間が変わります。デフォルトでは180秒となっています。

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