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Oracle、顧客専用Oracle Cloudリージョンを顧客のデータセンター内に構築する新サービス 野村総研らが採用

» 2020年07月09日 12時07分 公開
[新野淳一ITmedia]

この記事は新野淳一氏のブログ「Publickey」に掲載された「[速報]オラクル、顧客専用Oracle Cloudリージョンを顧客のデータセンター内に構築する「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」発表。野村総研らが採用」(2020年7月8日掲載)を、ITmedia NEWS編集部で一部編集し、転載したものです。

 米Oracleは7月8日(現地時間)、顧客専用のOracle Cloudリージョンを顧客のデータセンター内に構築し、マネージドサービスとして提供する「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」を発表しました。

photo 発表はバーチャルイベントで行われました。ラリー・エリソン氏も自宅から中継していたようです

  Oracle Dedicated Region Cloud@Customerは下記の図のように、顧客のデータセンター内にケージで物理的にOracle Cloudの領域を確保し専用のラックなどを配置することで、顧客専用のOracle Cloudリージョンを構築、フルマネージドサービスとして提供するもの。

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 同社が「第二世代クラウド」と呼ぶ、パブリッククラウドとして提供されているOracle Cloudのデータセンターの「コピー&ペーストにより構築される」(同社創業者兼CTO ラリー・エリソン氏)と説明される通り、設置場所が顧客のデータセンター内である以外は、仮想マシンやストレージを始め、Autonomous DatabaseやExadata、ERPなどを含む第二世代クラウドで提供されるすべての機能やサービスが提供されます。

 また、パブリッククラウドで新サービスが提供されれば、同じようにOracle Dedicated Region Cloud@Customerでも提供される予定です。

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 SLA(Service Level Agreement)もパブリッククラウドのOracle Cloudと同じ設定。利用料金も同じ金額での従量課金となっています(後述のように月額50万ドルの最低金額の設定あり)。

 Oracle Dedicated Region Cloud@Customerを利用することで、顧客はパブリッククラウドのOracle Cloudと同じ機能と性能を利用しつつ、データを自社データセンター内から外部に出さずに処理でき、しかも非常に小さなレイテンシで自社システムと連係可能、などのメリットを得ることができます。

 日本では野村総研がOracle Dedicated Region Cloud@Customerの採用を発表。世界で最初の採用企業となりました。

 同社は、まずは金融業界向けに提供しているSaaSアプリケーションを、オンプレミスのシステムからOracle Dedicated Region Cloud@Customerによる専用リージョンへ移すとしています。

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 Oracle Dedicated Region Cloud@Customerは設置や構築などの事前費用は不要。ただし、最低月額料金が50万ドルからとなっています。

 つまりOracleは、クラウドを大規模に使ってくれる顧客に対しては、クラウドそのものを顧客データセンター内に無償で構築し提供すると言っているわけです。AWSやGoogleなどクラウド市場で先行する競合各社との差をなんとしても詰めたい同社にとって、これはクラウドの大口顧客を振り向かせ、積極的に取り込むための大胆な打ち手であるといえるでしょう。

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