アイタタタタタタタタタ――。
記者の身長は173センチ。日本人男性の平均身長は171〜172センチなので、ちょっぴり高いくらいである。にもかかわらず、である。工事現場などで見られる「足場」の中に入ると、腰をかがめたり、頭を曲げたりしなければ、天井に頭をゴツンと打ってしまうのだ。
日本で最も普及している、足場の高さはどのくらいかご存じだろうか。答えは170センチ。戦後、日本人男性の平均身長は160センチ前半で推移していたこともあって、そのサイズに合わせたモノがいまでも使われ続けているのだ。
このような話を聞くと、「そんなの高くしたらいいだけでしょ。安全靴を履いて、ヘルメットもかぶらなければいけないので、180〜190センチくらいにすればいいかな」と思われたかもしれない。実際、現場からもそのような声があって、2000年に高さ180センチの足場が登場。しかし、想定よりも普及のスピードが遅かった。
業界の“常識”に従うように、現場では低いところで作業する日々が続いていたわけだが、14年に高さ190センチの足場が登場する。「180センチのモノがなかなか普及しなかったんだから、190センチでもダメでしょ」と想像してしまうが、不思議なことにこの足場が売れに売れているのだ。
製造しているのは、大阪に拠点を置く「タカミヤ」。従来の足場よりも20センチ高くしただけなのに、売り上げは右肩上がり。20年3月期の販売実績は、前年同期比31.3%増の42億9400万円に。
高さを20センチ上げただけなのに、なぜ売れたのか。また、日本人の平均身長は伸びているのに、なぜ170センチのモノがいまも使われ続けているのか。同社で足場事業を担当している庄崎貴弘さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。
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