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視覚障害者が街の行列に並べる支援技術 早大とIBMなどが開発Innovative Tech

» 2020年07月07日 08時00分 公開
[山下裕毅ITmedia]

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

 早稲田大学、IBM Research、リスボン大学による研究チームが開発した「Smartphone-Based Assistance for Blind People to Stand in Lines」は、スマートフォンだけで、視覚障害者が公共の場で行列に並ぶのを支援するシステムだ。

photo 最後尾に並び本システムを試す様子

 このシステムでは、スマートフォンに搭載されたRGBカメラと畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を利用した物体検出技術を用いて前方の人物を検出し,赤外線深度センサーで検出された人物との距離を連続的に計算して通知する。この通知により、目が見えなくても前方の人物が前進したタイミングと止まった位置を把握できる。

photo RGBカメラで前方の人を検知し、赤外線深度センサーで距離を推定する

 前方の人物との距離に基づき、3種類の振動アラートによって通知する。前方の人物が0.5m以内にいる時、前方の人物が0.5m以上離れた時、衝突回避のため0.5m以内に障害物(歩行者、机、壁など)がある時、それぞれ異なるパターンの振動アラートを提示するため区別できる。スマートフォンの向きに人物がいない場合は振動しない。

photo 3種類の振動アラート(1)前方の人物が0.5m以内にいる時の振動(2)前方の人物が0.5m以上離れた時の振動(3)衝突回避のため0.5m以内に障害物(歩行者、机、壁など)がある時の振動

 これらの振動アラートにより、前方の人物が動き出したら適切なタイミングで前進し、前方の人物が止まると適切な距離を保ち留まるといった一連の流れで行列に並べるという。

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