クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

「日本の自動車生産を維持している自負はある」 マツダ藤原副社長インタビュー(6)池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/8 ページ)

» 2019年12月05日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

 マツダの戦略が分岐点にさしかかっている。第2四半期決算の厳しい数字。第7世代の話題の中心でもあるラージプラットフォームの延期。今マツダに何が起きていて、それをマツダがどう捉え、どう対応していくつもりなのか? その全てを知る藤原清志副社長がマツダの今を語る。そのインタビューを可能な限りノーカット、かつ連続でお届けしよう。

マツダの藤原清志副社長(撮影:小池義弘)

池田 さて、これで、ほぼほぼ用意してきた質問には答えていただきました。まだ時間があるようなので、ここからはクルマ談義で(笑)。

みんなすべてが「人間中心とは何ぞや」から

池田 第7世代は本当にすごくいいですね。昨冬、確か剣淵(マツダの冬期テストコース)でマツダのどなたかに言われたんですけど、「認知・判断・操作」のもう一つ上位概念を見つけましたっていう言葉にすごく驚いたんです。「認知・判断・操作」って素数みたいなものだと思っていたわけですよ。これ以上はもう開けないと。そしたら、実はその上に「人間中心」があるんだって言われて、衝撃でしたね。

藤原 (笑)

池田 確かに人間中心があっての認知だし、人間中心があっての判断だし、人間中心があっての操作じゃないですか。あれって、いったいどのタイミングでどなたが思いついたんですか。

藤原 人間中心っていうのは、2013年ぐらいから言い続けてたんですよ。でも、みんなが同じ思いを持ち始めたのは、多分ここ2、3年ぐらいの話ですね。みんな口では言うんですけど、自分の仕事になかなか落ちてないんですよ。

池田 ほーう。そういうもんですか?

藤原 最近はもう、みんなすべてが「人間中心とは何ぞや」から始まっていきます。一番強く反応したのは、多分エンジンの親分の中井(パワートレイン開発本部長:中井英二氏)なんですよね。それが多分3、4年前かな。彼が、ベルシェイブの動き(リニアに感じる速度変化)だとか、人間はこうだとかって言い始めて、それから、みんなが、「あ、全部それで言えるんじゃん」って、ガタガタガタって全部が変わっていったというか、一つにまとまっていったんですね。出発点は中井だと思いますが、それをサポートした人間がたくさん、部門ごとにいるんですけど、スタートは彼なんじゃないかな。誰かということよりも、多分彼のその一言で変わったんじゃないかと思うんですけどね。

マツダの「人間中心」の考え方
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