ESGは本当に企業価値を上げる? ESG投資の注目は「資本コスト」(1/3 ページ)

» 2019年12月04日 07時29分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 昨今よく耳にする「ESG投資」。Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字からなり、これらへの取り組みを考慮して投資先の企業を選ぶという手法だ。しかし投資という観点から気になるのは、ESG投資は本当にもうかるのかという点。ESGへの取り組みは、なぜ企業価値を上げるのだろうか?

 株価によって表される時価総額という意味での企業価値は、企業の利益を中心とした財務要素がベースとなる。いわゆる「ファンダメンタルズ」だ。ここに、社長の方針や画期的な新商品や研究成果などのさまざまな要素を加えて評価することで、最終的には市場で企業価値は決まってくる。

 ESG投資的な手法は、「規範的な投資という意味では、戦前からあった手法」だと、三井住友DSアセットマネジメント株式運用第一部の森岡寛将部長は説明する。当時は投資のパフォーマンスとは関係なく取り組まれていたようだが、ここ数年で意味合いが変わってきた。

三井住友DSアセットマネジメント、株式運用第一部の森岡寛将部長(右)と、責任投資推進室の齊藤太上席推進役(左)

 欧州では公的年金などを中心に早くから投資判断にESGを組み込み、社会的な重要性を意識してきた。2006年には、ESG投資に関する責任投資原則(PRI)を国連と共同で提唱。日本でも公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、15年にPRIに署名し、17年から、すべての資産でESG要素を意識した投資を進めると表明している。

欧州と米国を中心にESG投資は広がってきた(三井住友DS資料より)
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