就活生について調査・研究をしていると、「今どきの若者は○○だ」とする大ざっぱな「若者論」が、就活生に対しても向けられるシーンを多く目にします。企業の合同説明会に群れをなして並ぶ学生、リクルートスーツに身を包んだ学生を一べつしながら、多くの人は「今どきの学生は真面目だ」「挑戦心が無い」などと、一くくりに見ていきます(多くの場合、そこから「自分たちの頃は...」と昔話が始まります)。
社会心理学の知見を参照すれば、こうした就活生へのステレオタイプな見方には、ある程度の説明がつきます。1つは、人は自分の「外」にいる集団のことを均質なものだと見なす、外集団同質性バイアス(out-group homogeneity bias)の働きです。人は「仲間」ではない他人のことを、大ざっぱにしか見ようとしないということ。90年代以降、リクルートスーツのデザインが男女ともに均一化したこともこれに拍車を掛けます。
さらに、地位や権力を持っていると、相手を正確に見る動機づけが起こらず、ステレオタイプで判断する傾向が強いことも、心理学では明らかになっています。
つまり「就活生」が大ざっぱにくくられがちなのは、多くの社会人にとって就活生とは1.すでに自分とは関係のない「他者」のグループであり、かつ2.仕事人生の「後輩」という下位のカテゴリーに属す集団だからです。
こうしていったん持たれたステレオタイプは既存の思考フレームになり、それに当てはまる情報ばかり得ようとしてしまう、確証バイアスと呼ばれる傾向によって強化されていきます。いわゆる「人は自分の見たいものしか見ない」というバイアスです。就活生という社会集団は、マイノリティーでは無いにも関わらず、こうした視線にさらされやすい特殊な集団だと言えるでしょう。
「最近の学生は真面目だ」「元気が無い」といった一面的で大ざっぱな理解は、就活生が対峙する企業の採用活動にも影響していきます。学生の見る目の肥えた人事担当者ならまだしも、採用には現場の社員、つまり上述したような「普通の」社会人も多く関わります。とは言え、「一人一人の多様性に向き合う」を徹底できるほど、人の認知能力は高くありません。
そこで本稿では、こうした「今どきの就活生」像をより明晰にするために、独自の調査データ(※)を分析し、就活生のタイプをデータから以下の5つに大別しました。(※パーソル総合研究所とパーソルキャリアのキャリア教育支援プログラムCAMPとの共同調査。全国の大学1-4年,社会人1-3年生合計1700人を対象としたインターネット定量調査)
早速、それぞれのタイプの概要を説明していきましょう。
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