みそカツ、手羽先、ひつまぶしなど、さまざまな個性で全国に知れわたる「名古屋めし」。その文化的背景は奥深い。名古屋めしの看板メニューを引っ提げて全国区となった企業も多い。全国の“壁”を越えた企業にはどのような戦略があるのか。その強さに迫る。
第1回:かつてゲテモノ扱いされた「名古屋めし」 逆境を乗り越えた“強さ”とは
第2回:人気なのに「地元から出ない」名古屋めしの名店 共通点は“売り上げ構造”
第3回:本記事
名古屋めしビジネスの強さを探る短期集中連載、最終回となる第3回は、名古屋めしシーンの新しい動きに注目していく。
江戸時代に誕生したきしめんを筆頭に、みそ煮込みうどんやひつまぶし、みそカツなど、歴史のある料理が多い名古屋めし。そんな古参メニューが群雄割拠する中で、一気に市民権を得た最新の名古屋めしが「台湾まぜそば」だ。
誕生は2008年。オープン間もなかった新興ラーメン店「麺屋はなび」が開発した。名前の通り、名古屋めしの一つである台湾ラーメンのアレンジメニュー。これが“激辛だがクセになる”と評判になり、決して好立地とは言えない同店を大繁盛店に押し上げた。同店がフランチャイズチェーン(FC)展開したことに加えて、これにならったメニューを出す店も続出。名古屋を飛び出し、今や全国1000店以上で提供されているとすら言われる。
台湾まぜそばの急速な広がりには、やはり「名古屋めし」というキーワードの後押しがあった。
「『名古屋めし』のフレーズが有利に働いたことは間違いありません。インパクトがある食のジャンルとして全国的に認知されているし、他の名古屋めしと合わせてメディアに取り上げられる機会も広がりました」と、麺屋はなびオーナーの新山直人さんは話す。
台湾まぜそばの大ヒットは、名古屋めしのカテゴリーを広げる役割も果たしている。台湾ミンチ(豚肉をトウガラシやニンニクで炒め煮したもの)をトッピングした“台湾系・新名古屋めし”ともいうべき料理がさまざまなジャンルで次々に登場しているのだ。台湾○○とネーミングされた創作メニューは、うどん、きしめん、もつ鍋、串焼き、ピザ、サンドイッチなどまさに百花繚乱となっている。
「ここ数年で“食べたい”メニューから“作りたい”メニューになった。台湾ミンチは意外なほど何にでも合うし、トッピングすれば何でもおいしくなる。魔法の具材です(笑)」と新山さん。
「麺屋はなび」は現在、直営、FC合わせて約40店舗を展開。韓国、マレーシア、米国・ロサンゼルスと海外にも進出し、国外では「名古屋まぜそば」とネーミングされて、名古屋のPRにも一役買っている。
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