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テクノロジー活用で企業の収益成長率に2倍以上の差――アクセンチュア調査

» 2019年12月06日 08時00分 公開
[ITmedia]

 総合コンサルティング企業のアクセンチュアは、日本を含む20カ国、20の業界における8356社の経営層を対象に、テクノロジー活用がもたらす潜在的な価値と実際に得られた価値の乖離(かいり)を理解することを目的とした調査を実施した。

(写真提供:ゲッティイメージズ)

 調査では、「テクノロジーの導入状況」「テクノロジーの活用度」「組織文化への浸透度」の3点で企業のスコアを算出し、上位10%をテクノロジー導入の先行企業、下位25%を出遅れ企業と定義。2015年から23年(予測値)の業績評価指標に基づいて、テクノロジー活用と業績との関係を分析した結果、先行企業は出遅れ企業に比べて、2倍以上の収益成長率を実現できていることが判明した。

 また、18年に限定すると、出遅れ企業は年間で15%の増収の機会を逸しており、テクノロジーの活用方法を変えない限り、23年には46%の増収の機会が失われる恐れがあることも分かった。

先行企業と出遅れ企業の予想成長率(自己申告)を、それぞれ紫と青の線で表示。ドル値は、ある企業の2015年の収益を100億ドルと仮定した場合の機会費用(引用元:アクセンチュア

 さらに、調査結果を分析すると、全社規模でのテクノロジー導入と組織変革に関して、先行企業は出遅れ企業とは対象的に、以下の特徴的な考え方を持っていることが明らかになった。

 まず、俊敏性と柔軟性をもたらすテクノロジーの導入だ。98%の先行企業ではAIを導入しているのに対し、出遅れ企業での導入率は42%にとどまっている。また、先行企業はテクノロジーを利用するために積極的にクラウド活用を進めている。先行企業の95%が「イノベーションの源泉としてクラウドを捉えている」のに対し、同じ考え方を持つ出遅れ企業は30%だった。

 同様に、先行企業の90%が、信ぴょう性や公平性に欠ける可能性のあるデータに依存しないよう、データ品質を確保するための対策を講じている。先行企業の94%は「ビジネスを推進する上で、自社のデータが十分な信頼性を担保している」と考えており、出遅れ企業の64%を大きく上回っている。

 加えて、先行企業の73%が従業員に対して体験型学習プログラムを提供しており、この割合は出遅れ企業(24%)の3倍近くに及んだ。個々のスキルにあわせた学習プログラムの提供、従業員のスキル向上に対するニーズ予測、従業員のスキル要件とトレーニング内容とのマッチングといった分野において、AIや高度なアナリティクスを利用している割合は、先行企業が87%であるのに対し、出遅れ企業はわずか35%だった。

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