1億5000万円の純金製人生ゲーム、“真の狙い”は? 「老後2000万円」問題でサービスも注目金を扱うオリジナル版ゲームも開発

» 2019年11月20日 14時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 田中貴金属工業は11月20日、タカラトミーとのコラボレーションで制作した「純金製人生ゲーム」を公開した。時価総額1億5000万円相当で、人生ゲーム史上最高額。お金や資産について考えることができる人生ゲームに「金」という要素を加えることで、主力商品「純金積立」への理解をより広めたい考え。純金製のオブジェに続いて、田中貴金属オリジナル版の人生ゲームも制作しており、家族で楽しみながら資産としての金の価値を知ってもらうきっかけにする。

田中貴金属工業が制作した「純金製人生ゲーム」と、タレントのヒロミさん

 純金製人生ゲームは、2016年発売の7代目人生ゲームをもとに、金、プラチナ、銀を使って制作。ゲーム盤だけでなく、車や人間の駒、建物なども貴金属で作った。金12.4キロ、プラチナ4.5キロ、銀17.2グラムを使用している。

 制作した田中貴金属は、貴金属取扱量で国内トップクラス。自動車やモバイル機器などの産業用、宝飾品用、そして資産用の3分野で事業展開している。資産用事業では、月3000円から1000円単位で金、プラチナ、銀を積み立てることができるサービス「純金積立」で知られる。

 同社貴金属リテール部長の加藤英一郎氏は、子どものころから人生ゲームで遊んできた経験から「人生ゲームには不動産や株式の投資をするイベントはあるが、金は出てこない。金を持つ意味、正しい考え方を啓蒙したい」と考え、今回のコラボレーションを実現させた。そのため、純金製オブジェはあくまで“象徴”。現在制作中のオリジナル版人生ゲームで、資産の持ち方、金という選択肢について理解を広めたいという。

 オリジナル版では金を扱うイベントが出てくるが、売買を目的としたものにはならないという。「金を持っていることで救われる、という経験」(加藤氏)などを盛り込む。資産形成を手軽に理解してもらえるものにする。11月22日〜2020年2月29日に実施する純金積立のキャンペーン期間に、月3万円以上の積立を始めた人の中から抽選で1000人にオリジナル版人生ゲームを贈る。

「純金製人生ゲーム」に使用した貴金属

「老後2000万円問題」以降、申し込み8倍

 同社は1980年に日本で初めて、現在の貴金属積立の原型となるシステムの提供を開始し、顧客数は延べ約60万人に上る。今後の見通しなどは公表していないが、現在は資産形成への注目度が高まっており、さらに増加傾向にあるという。

 そのきっかけの一つが、6月に金融庁が公表した報告書が発端となった「老後資金2000万円問題」だ。8月には、純金積立の申し込みが前年同月比8倍にまで伸びた。加藤氏は「注目度は高い。特に、保有などを目的に金を買う人たちに勢いがある」と話す。

 一方、若い世代では金の購入を縁遠いと思っている人も多い。現在の主要顧客層の“次の世代”として、30〜40代への訴求も強めたい考えだ。加藤氏は「自分の資産を守るために“金を保有する”という選択肢があることを知ってほしい。金は、本当に困ったとき、最後の最後に売る資産。無理して買うものでもなく、少しでも持っていることが大事」と説明する。

 純金製人生ゲームの発表会には、人生の浮き沈みを経験したタレントのヒロミさんが登壇。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんも「これまで採掘された金は、国際基準プール約4杯分しかない。価値が失われにくい金など、いろんな形で資産を持つことが必要」とPRした。今後、純金製人生ゲームを全国各地で展示し、純金積立の認知度向上に活用する。

純金製人生ゲームを全国で展示していく

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