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ミクシィの上半期、最終利益83%減 モンストの苦戦続く 木村社長は「V字回復狙う」と強調

» 2019年11月08日 19時28分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 ミクシィが11月8日に発表した2019年4〜9月期の連結決算は、売上高が前年同期比34.1%減の468億3500万円、営業利益が80.5%減の40億3500万円、最終利益が83.0%減の21億9200万円と減収減益だった。主力のスマートフォンゲーム「モンスターストライク」(モンスト)のARPU(ユーザー1人当たりの平均売上高)低下が響いた。

photo ミクシィの木村弘毅社長

モンストのMAUは復調

 セグメント別では、モンストなどのゲーム運営やプロスポーツチームの経営を含む「エンターテインメント事業」の売上高は前年同期比33.7%減の451億3800万円、営業利益は61.7%減の97億2400万円だった。

 モンストでは、7月からゲーム内通貨「オーブ」の無償配布や、他社IPとコラボしたキャラクターを輩出する「ガチャ」などを相次いで実施したが、ARPUは低下した。だがミクシィの木村弘毅社長は「休眠ユーザーを呼び戻し、MAU(月間アクティブユーザー数)は大幅に復調した。10〜20代のユーザーも開拓できた」と強調した。

photo モンストのMAUは大きく改善したという

 MAUの数値や推移は非開示だが、8月に「モンストよ、俺たちの声を聞け!」と題し、Twitterに不満を投稿したユーザーに賞品が当たるキャンペーンを打ったことなどが活性化につながったという。木村社長は「自虐的な面もあったが、『モンストの運営はユーザーの声を聞いてくれるんだ』と感じてもらえたのでは」と語った。

 減収が続くモンストの復調に向け、ミクシィは上半期中にモンスト事業の体制を変更。16年ごろに3周年イベントを成功させ、事業を立て直したマーケティング担当者(当時)をモンスト全体の責任者に据えた。「俺たちの声を聞け!」キャンペーンなどを主導したのもこの人物だという。

ライフスタイル事業も苦戦、ジムは閉店決定

 SNS「mixi」、写真・動画共有アプリ「家族アルバム みてね」、トレーニングジム運営などの「ライフスタイル事業」の売上高は前年同期比43.4%減の16億9700万円、営業損益は4億3900万円の赤字(8億1500万円の赤字)だった。

 減収となった要因は、結婚支援事業を手掛けるDiverseを、同業のIBJに18年7月に譲渡した影響という。ミクシィはトレーニングジム運営をライフスタイル事業の注力分野に位置付け、東京都世田谷区に女性専用ジム「ココサイズ」を出店していたが、顧客獲得に苦戦。11月末での閉店が決定した。

モンストでV字回復目指す “ホームラン狙い”で新作開発も

photo ミクシィの2019年4〜9月期の連結決算

 通期業績予想は売上高が1000億円(前年比30.6%減)、営業利益が50億円(同87.8%減)、最終利益は30億円(同88.7%減)のまま据え置く。詳細は非公開だが、達成に向け、モンストでさらなる新キャンペーンを予定している。2月に完全子会社化したチャリ・ロトによる競輪くじの販売や、オンライン年賀状サービス「みてね年賀状」などにも力を入れる。

 木村社長は「下半期は、復調したモンストのMAUを生かし、消費意欲をかき立ててARPUを改善したい。年末年始商戦に向けて『お正月といえばモンスト』といった盛り上げ方をし、V字回復を狙う」と説明。

 「新規タイトルも、常にホームランを狙って開発している。テーマとなるのはコミュニケーション。家族や友達が集まってワイワイできるゲームを作っている。それに特化しているからこそ独自性が高く、当たったときに大きく跳ねると考えている」と語った。

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