レバレッジ付き投資信託続々 機械学習も組み合わせた「米国分散投資戦略ファンド」(1/3 ページ)

» 2019年11月18日 10時48分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 預け入れた資金に対して実質的に数倍の額の投資を行う、レバレッジ付きの投資信託が注目されている。日興アセットマネジメントの「グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)」は、順調に純資産総額を伸ばし2700億円を突破。モーニングスターのデータによると、直近1カ月で純資産が30%を超える伸びを示しており、人気がうかがえる。

 運用各社はレバレッジを組み合わせたバランスファンドに着目しており、11月15日からスタートした三井住友DSアセットマネジメントの「米国分散投資戦略ファンド」も、レバレッジを効かせたバランスファンドだ。開発を担当した松永拓真シニアマネージャーと、営業担当の今井拓見シニアマネージャーに聞いた。

米国分散投資戦略ファンドの3つの特徴

 米国分散投資戦略ファンドの特徴は大きく3つある。1つは世界経済の中心である米国に集中投資しつつ、為替リスクを受けないようヘッジを行うこと。2つ目は、1倍、3倍、5倍というレバレッジ付きの商品を用意することでリターンを拡大すること。そして3つ目は、機械学習を使ってポートフォリオを調整することだ。

 「バランスファンドは安定しているがリターンが低い。保守的なものにレバレッジをかけることでリターンの獲得を目指す」と、今井氏は狙いを話す。

営業担当の今井拓見シニアマネージャー

 米国分散投資戦略ファンドのポートフォリオは債券が中心だ。そこに株式、不動産(REIT)、商品(コモディティ)を組み込むことで、リスクを分散すると共にリターンの向上を目指す。株式は、米国のS&P500およびNASDAQ100指数、債券は米国10年債およびモーゲージ証券(住宅ローン担保証券)、不動産はDJ米国不動産指数、商品はBloombergコモディティ指数および金を組み込む。

 平均的な資産構成比は、債券79%、株式9%、不動産4%、コモディティ9%となっており、最大で債券比率を99.7%まで高める。相場のリスクが上昇した際には、リスク資産比率を1%未満まで落とすというダイナミックなポートフォリオとなっている。

 バランスファンドの中でも、金やコモディティの比率が高い。これは「株と債券は通常逆相関だが、現在は、金融政策に釣られて株と債券が同方向に動くことが増えている。コモディティを組み込むことで、分散を高めている」(松永氏)という狙いだ。

米国分散投資戦略ファンドが組み込む各資産の相関(=三井住友DS資料より)
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