1500円の高級ちゃんぽんが登場 リンガーハットが挑む郷土愛とビジネスの両立グループの高級店で提供

» 2019年11月12日 15時35分 公開
[昆清徳ITmedia]

 長崎の伝統料理を提供する「長崎しっぽく浜勝 銀座本店」(東京・中央)は、11月13日、「銀ぶらちゃんぽん」(税別1500円)を発売する。1日限定30食で、ランチのみの提供となる。同店は、リンガーハットグループの創業ブランドである「長崎卓袱(しっぽく)浜勝 長崎総本店」(長崎市)の東京進出店という位置付け。1500円の高級ちゃんぽんを投入することで、どんな効果を狙っているのか。

「銀ぶらちゃんぽん」(税別1500円)

長崎の伝統料理を守る使命

 銀座本店は、18年11月にオープンした。客席数は65席(個室4室)で、長崎の伝統料理である「卓袱料理」を提供しているのが特徴だ。料理に使う素材や酒などは、なるべく長崎県産にこだわっている。

 リンガーハットの米浜和英会長は「卓袱料理の名前を聞いたことはあっても、実際に食べたことがない人は長崎にもいる。長崎では歴史ある料亭が少なくなっており、提供する場所が減っている。食が多用化する中で、格式と伝統を保ちながら、卓袱料理を東京に広めていきたい」と語った。長崎発祥の企業として、伝統的な長崎料理を守りたい。その使命を担うのが銀座本店の位置付けだ。

 ただ、現時点で、経営は順調とはいえない。同店の支配人によると、目標の年商は3億円だが、実績は半分程度にとどまるという。月間客数は600〜650人なので、単純計算で倍にする必要がある。集客の要として期待されているのが、新しく投入する高級ちゃんぽんなのだ。

高級感あふれる店内

 銀ぶらちゃんぽんの最大の特徴は、スープにある。長崎を代表する「焼きあご」のだし、鶏ガラ、野菜、シイタケを店舗で6時間以上かけてじっくり煮込んでつくる。ちゃんぽんは、長崎の「波佐見(はさみ)焼」のどんぶりに盛りつける。具材には、イワシのすり身でゆで卵を包んだ「龍眼(りゅうがん)」を使う。龍眼は、伝統的な秋の大祭である「長崎くんち」に登場する龍の目に見立てている。

 銀ぶらちゃんぽんで店の良さを知ってもらい、ディナーに誘導できれば理想的な流れになる。ディナーの時間帯に銀座本店を予約するお客の半数程度が、接待に利用していると担当者は分析している。通常の懐石料理などに飽きたお客にとって、長崎の伝統料理は目新しく感じられるという。

 リンガーハットは、高級ちゃんぽんで長崎への郷土愛とビジネスを両立させられるか。

ちゃんぽんの具材は季節によって異なる

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