「売る人」がいないJ-REIT 好循環の中、リスクはどこに?(1/4 ページ)

» 2019年11月11日 07時04分 公開
[斎藤健二ITmedia]
三井住友DSアセットマネジメントの秋山悦朗シニアファンドマネージャー

 国内の不動産に投資するJ-REIT(不動産投資信託)が好調だ。2004年からの東証REIT指数を見ると過去最高値。配当利回りも3%台を維持している。この現状をどう見たらいいのか? またそこにはどんなリスクがあるのか。

 三井住友DSアセットマネジメントでREITを担当する、秋山悦朗シニアファンドマネージャーに聞いた。

「売る人」がいないJ-REIT

 秋山氏は日本をはじめアジア各国のREITを組み合わせた「Jリート・アジアミックス・オープン」のファンドマネージャーを務める。組入資産の約半分を占めるJ-REITだけでなく、香港、シンガポール、オーストラリアのREITも好調で、基準価格は上昇を続けてきた。

三井住友DSアセットマネジメントの「Jリート・アジアミックス・オープン」(毎月決算型)の基準価格、純資産総額の推移

 そんな中、現状の好調具合を秋山氏は、「いま好調だが、活況というとちょっと違う。現在は極端に売る人がいない。通常、これだけ上がれば、利益確定売りがあるが、ほとんどいない」と評価する(以下、カッコ内は秋山氏の発言)。

 背景にあるのは、国債をはじめ各資産の値上がりによる利回りの低下だ。より高い利回りを求めてさまざまな投資商品を買う、いわゆるイールドハンターが買い支えている。この需給のアンバランスは、J-REITでも18年の秋口くらいから続いているという。

 ファンダメンタルズでいうと、17年も18年も19年も大きく変わっていない。世界的にREITは好調だった。ところが、17年はJ-REITだけがマイナスだった。これは、「金融庁が投信の毎月分配を問題視したことがある。J-REITは毎月分配が多かったので、資金が入らなかった。販売会社が売りにくく、資金流出につながった」というのが理由だ。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.