ユーザーからさまざまな不満を募る「不満買取センター」というサービスがある。人工知能(AI)を活用したデータ解析やコンサルティングを手掛けるInsight Tech(東京都新宿区)が運営している。
寄せられた不満を基に、企業へのデータ提供や企画開発のコンサルティングも行っているというが、商品やサービスだけでなく、家庭や職場への不満も受け入れているというから驚きだ。ユーザーは不満をアップするだけでなく、他のユーザーが寄せた不満を見ることもできる。内容を見ると、「夫のいびきがうるさい」「子どものトイレに関するしつけがうまく行かず、ストレスになっている」といったものまで本当にさまざまな不満が寄せられている。
不満買取センターという独特なサービスは、どのように生み出されたのか。また、一見すると商品開発に関係ないような日々の悩みまで募集するのか。同社の伊藤友博社長に聞いた。
伊藤社長によると、商品やサービスの消費のされ方が変化していることがサービスの念頭にあるという。従来のマーケティングでは「モノ」そのものに対する欲求や、スペック面での訴求が目立っていた。しかし、技術の発展限界や生活シーンの変化により、モノそのものよりも「コト」へと消費者の興味はシフトしている。
例えば、スピーカーであればメーカーは出力やデザインなどを競っていたし、消費者もその点を気にかけていた。しかし、今では「お風呂に入りながら音楽を聴きたい」「テラスで音楽を楽しみたい」といったように、シーンの一部として商品は消費されるようになっている。各企業はこうしたニーズを分析するためにSNSなども駆使しているが、得られるものは表層的なものが多い。表現の裏側にある「なぜ」の部分まで踏み込めていなかったという。
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