eスポーツ、高校でも普及するか 全国高等学校eスポーツ連盟が乗り越えるべきハードルと見習うべき「米国モデル」いよいよ発足(1/2 ページ)

» 2019年11月08日 11時28分 公開
[鬼頭勇大ITmedia]

 世界的に注目を集めるeスポーツ。2018年にインドネシアで行われたアジア競技大会では、6本のゲームがデモンストレーション競技に選ばれるなど、単なる「ゲーム」ではなく、「スポーツ」としての認知度も高まり始めている。同大会では、サッカーゲーム「ウイニングイレブン」で競技する部門において日本人チームが優勝。今後はアジア大会での公式種目化、ひいてはオリンピックの公式種目化も一部でささやかれており、国内人材の強化も必要となってくるだろう。

 そんな中、毎日新聞社とPCの製造などを手掛けるサードウェーブ(東京都千代田区)が11月1日、全国高等学校eスポーツ連盟(JHSEF、東京都千代田区)を設立した。同7日には記者会見も行われ、高校生を取り巻くeスポーツ環境や乗り越えるべき課題などについて発表された。

JHSEFのコンセプト

 もともと両社は、「全国高校eスポーツ選手権大会」を主催していた。18年の第1回大会では2つの競技を実施。2競技を合わせて参加したチームは150ほどを数えている。19年夏からは第2回を実施しており、こちらでは総勢200チーム以上が参加。徐々に裾野は広がりつつある。

高校生eスポーツ大会、優勝すれば商品ももらえる(出所:全国高校eスポーツ選手権大会公式Webサイト)

 また、大会の運営を経た気付きもあったという。JHSEFの理事長を務める久保公人尚美学園大学学長は、「eスポーツはユニバーサルスポーツ」と話す。従来のスポーツは能力がフィジカル面に依存する傾向が強く、また性別の違いや障害の有無によっても差が付きやすい。しかし、eスポーツであればこうしたハードルに関係なく競技できる。また、グローバルなコミュニケーションを取ることも可能だ。校内でeスポーツ大会を行ったある学校では、留学生が優勝することで、一般学生との交流を深められたケースもあるという。

 ただ、世間的にはまだまだ「eスポーツ=ゲーム」という認識も根強く存在する。特に高校生であれば学業などにも時間を割く必要があり、保護者にも納得してもらえるような仕組み作りが欠かせない。では、JHSEFはどのように課題を乗り越えていくのだろうか。

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