「コアバリューをビジネスに」APIとサブスクリプションの親和性とは?現場視点のエコシステム(1/2 ページ)

企業のコアバリューをいち早くマネタイズするために、コア以外の技術は内製せず、APIを使って「借り物競走」するべきだ――。サブスクリプションビジネスを成功させる仕組みとはどのようなものか。APIエコノミーの先駆者に話を聞いた。

» 2019年11月07日 09時45分 公開
[柴佑佳ITmedia]

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 API(Application Programming Interface)とは、他者のサービス内で利用されることを目的に作られたアプリケーションプログラムである。代表的なものが、Webサイトに埋め込まれた「Google Map」や、Amazonのアフィリエイト広告用API「Amazon Product Advertising API」などの「Web API」だ。

 APIベンダーが提供する仕組みを自社のサービスに転用すれば、開発や保守の工数を削減し、余剰リソースをコアバリューの開発に充てられる。その有効性は、サブスクリプションビジネスにおいても重要になってくる。APIエコシステムを提供するサイオステクノロジーは2019年10月25日、「サブスクリプションビジネスを成功させるための仕組みはどうあるべきか 〜事業のモデリングの手段としてのAPIエコシステム、サブスクリプションを活用〜」と題し、セミナーを開催した。

APIを制するものがサブスクを制す

二瓶 司氏 サイオステクノロジー プロフェッショナルサービス事業企画部 APIエコノミー事業担当 二瓶 司氏

 「APIエコノミーに関する案件がここ1年でものすごく増えた」と、サイオステクノロジーのAPIエコノミー事業担当を務める二瓶 司氏は語る。同氏はその背景を、サブスクリプションやシェアリングビジネスの拡大にあると見ているという。

 サブスクリプションは、事業構造そのものの再設計やブラッシュアップが常に必要とされるビジネスだ。それはSaaS(Software as a Service)型であっても、ユーザーに商品が届けられるモノ型であっても変わらない。「個別サービスの単価が落ち、競合環境が激化して、サービスの利用状況をより早く製品に反映させることが求められている。それを実現するのは、従来型の大人数チームによるウォーターフォール型開発ではなく、少人数チームでのアジャイル開発だ」(二瓶氏)とし、少人数でのサービス開発にはAPI活用が欠かせないと述べた。

 二瓶氏はシェアリングビジネスの成功例として、「Airbnb」と「Uber」の2社を挙げ、「いずれのサービスも、8割がAPIを利用した『借り物』のサービスだ」と解説した。これは「小さなリソースで小さなサービスをスピーディーに開発し、コアバリューを迅速にマネタイズする」というビジネスモデルがトレンドにあることを意味しているという。

 同氏はトヨタ自動車が提供するクルマのサブスクリプション「KINTO」を例に、「KINTOもおそらく8割は他社のサービスを利用している」と続ける。「大企業の中でも、1つのプロジェクトチームが2〜3人しかいないケースは珍しくない」とし、既存のサービスをAPI連係して利用する「借り物競走」の重要性を強調した。

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