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天の川が撮れた! Pixel 4で「満天の星空と富士山」の撮影にチャレンジ(1/3 ページ)

» 2019年11月01日 20時00分 公開
[井上輝一ITmedia]

 まずはこの2枚を見比べてほしい。片方がGoogleのスマートフォン「Pixel 4」で撮った写真で、もう片方がキヤノンのフルサイズ一眼レフ「EOS 6D」で撮った写真だ。

Pixel 4 サムネイルで星が分かりやすいよう、富士山の写真のみニアレストネイバー法で縮小している(クリックで答えと原寸大の写真を表示)
EOS 6D (クリックで答えと原寸大の写真を表示)

 拡大してみると、さすがに差は明らかだ(2枚目がEOS 6D)。星と空のコントラストや、富士山の稜線などの明瞭感はEOS 6Dに分がある。

 だが、光を捉える要であるレンズとイメージセンサーを比べると、EOS 6Dは「SIGMA 24-35mm F2 DG HSM」(24mm F2で撮影)という巨大なレンズとフルサイズ(約35.8×23.9ミリ)のイメージセンサーであるのに対し、Pixel 4はフルサイズ換算約26mm F1.7の小さなレンズと1/2.55型(約5.2×3.6ミリ)センサーだ(センサーサイズは推定)。

 センサーはEOS 6Dの方が面積比で約46倍大きく、レンズの有効口径(光を取り入れられる度合い)もEOS 6Dの方が約4.6倍大きい。

 この差を考慮すると、Pixel 4が驚くほど鮮明に星や富士山を写しているのが分かる。

なぜこれほど鮮やかに撮れる?

 Pixel 4がこのような夜景写真を撮れるのは、撮影後の処理でノイズを減らす工夫をGoogleがしているから。

(関連記事:「星空も撮れる」Pixel 4カメラのヒミツ スタンフォード大教授が「Made by Google」で語ったこと

 Googleの説明によると、Pixel 4で星空を撮影する際には、16秒間露光した写真を15枚撮影し、各写真で星が重なるようにうまく位置を合わせ、各ピクセルの平均値を計算することでノイズが少なく鮮明に星が写る画像を生成しているのだという。もちろん三脚などによる固定は必須だ。

 短時間の露光を繰り返すというのがミソ。地球の自転で星は常に動いているため、単に4分間露光してしまうと星が線上に流れてしまう。

 露光を細切れにすることで、星が流れるのを抑えつつ、連写後に星々の位置合わせをしながら合成。こうすることで長時間露光したかのような結果を得ているということのようだ。

 ちなみに、Pixel 4よりも大きい1/1.7型のイメージセンサーを備えるなど、暗所撮影に強いといわれる「Huawei P30」の夜景モード(Pixel 4のように連写と合成処理を行うモード)で撮影した結果が以下。

Huawei P30の夜景モードで撮影

 明らかにPixel 4の描写が勝っていると分かる。しかし、センサーサイズを考えれば本来はこれくらいが普通のはずであり、Pixel 4の結果が“異常”だともいえるかもしれない(褒めている)。

Pixel 4で捉えた「銀河」「星団」「天の川」

 この撮影は10月22日の深夜に山梨県河口湖で行った。富士山は河口湖から見て南にあり、この時間には有名な星座などはあまりない。別の方向にPixel 4を向けて、有名な星座を撮影してみた。分かりやすいよう、星座線などを添えた写真も並べている。

オリオン座(クリックで原寸大表示)
オリオン座(星座線あり)(星座線は国立天文台の星座ソフト「Mitaka」に基づく)

 まずはオリオン座。都会でも晴れていれば、三つ星と1等星の「ベテルギウス」や「リゲル」などが観察できる。この写真では、三つ星の左下にある「小三つ星」も明るく写せている。小三つ星の真ん中は「オリオン大星雲」で、他の星に比べて広くぼやっと明るい様子が見える。

オリオン大星雲(等倍切り出し)

 星空だけでなく、手前の木々や雲がはっきりと写っているのにも注目したい。計4分も露光していれば少なからず葉や枝が揺れるはずだが、画像処理の妙なのか、ブレがないように見える。

 従来のカメラ機材で工夫をしても面白い。ケンコー・トキナーの「PRO1D プロソフトン [A] (W)」という、描写をソフトににじませるフィルターをPixel 4のカメラにくくり付けてオリオン座を写した。

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