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伝説のピアニストをAIで蘇らせた「Dear Glenn」プロジェクト、コンサート映像を公開 人との共演も

» 2019年10月23日 18時57分 公開
[ITmedia]

 ヤマハは10月23日、1982年に亡くなった伝説的なピアニスト、グレン・グールドの音楽表現を再現できるAIのコンサート映像を公開した。9月7日にオーストリアで行われたもので、AIを使ったシステムがグレン・グールドの代表曲や未演奏曲を独奏した他、気鋭のピアニスト、フランチェスコ・トリスターノとのピアノ二重奏など、現代の演奏家との“時空を超えた合奏”も披露した。

聖フローリアン修道院で行われたコンサート。世界最大規模のメディアアートの祭典「アルスエレクトロニカ・フェスティバル」の一環として行われた

 機械学習の一種であるディープラーニング(深層学習)を活用。グレン・グールド財団の協力の下、100時間を超える音源を解析して得たデータで深層学習を行った。

 さらにフランチェスコ・トリスターノらグレン・グールドの演奏を深く理解している現代のピアニストたちが協力。実際の演奏をAIに学習させる「ヒューマン・インプット」を実施。このAIが自動演奏機能付きピアノを操ることで、グレン・グールドが演奏したことのない曲でも、楽譜さえあればグールドらしく演奏できるという。人の演奏をリアルタイムに解析し、先読みして人間と合奏する機能も搭載した。

ディープラーニングの概要

 グレン・グールドは、1982年に50歳の若さで没した伝説的なピアニスト。1956年発売のデビュー盤「ゴルトベルク変奏曲」など、とくにJ.S.バッハの曲で高く評価された。また1964年にコンサートからの引退を宣言し、以降は録音に没頭するなど、テクノロジーに可能性を見いだしていたことでも知られる。

 ヤマハは、グレン・グールドの姿勢に着想を得て、今回のAI開発プロジェクト「Dear Glenn」を立ち上げた。「この取り組みは、AIと人間が刺激し合い、共創する新しい音楽表現の在り方を提示する」という。同社は2016年にもピアノの巨匠、故スヴャトスラフ・リヒテルの往年の演奏を再現し、人と共演するシステムを開発している。

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