デジタルツインとは、現実世界で動いているモノを仮想環境上に高精度モデルとして再現し、現実では実際に得にくい情報を取得するための手法だ。サイバネットはCEATEC 2019の講演において、デジタルツインを「スマートな社会の実現を支える技術」として、具体的な活用方法を紹介した。
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モノやシステム、サービスが相互につながり、社会をより便利にする――IoT(Internet of Things)は、エコでスマートなテクノロジーとしてのイメージが強い。環境問題の緩和や労働人口減少への対策、安全で安心な社会の実現などの可能性を秘める一方で、企業は「具体的に何ができて、何から手を付けたらよいのか」と迷っているという。
サイバネットシステム(以下、サイバネット)のIoT推進部で副部長を務める中野文昭氏は、日本の現状について「データをうまく使えないままでは、日本がガラパゴス化してしまう」と危機感を見せた。
データの使い方として中野氏が紹介するのが、CAE(Computer Aided Engineering)におけるデジタルツインの活用だ。
CAEとは、製品を製造する際に、開発の初期段階からコンピュータで仮想的な試験を実施し、手戻りや試作の回数を減らして製品の品質を向上させる手法である。CAEのシミュレーションツールには流体や熱設計、電磁気や構造設計などを扱ったものがあり、それらは「歴史があり、非常に高精度なものが完成している」(中野氏)という。
それぞれの高精度な予測モデルをつないで全体を見るシミュレーションシステムは、特に自動車製造業において発展している。中野氏は「IoTによってあらゆるものがつながる時代、CAEへの要求が変わっている。自動車以外の業種でも実用化が必要になってくるが、現実ではそう簡単ではない」という。
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